国 会 質 問
平成17年05月20日
衆議院 農林水産委員会


 農林水産関係の基本施策に関する件


○山岡委員長 次に、白保台一君。

○白保委員 きょうは、沖谷先生、山内先生、大変御苦労さまでございます。公明党の白保でございます。

 この委員会には非常にこの問題に詳しい方が何人かおられて、もちろん科学者じゃないと思いますけれども、いらっしゃいます。私は、その域には達しておりませんけれども、素朴な疑問をお聞きしていきたい、こういうふうに思います。

 初めに、沖谷参考人にお伺いしたいと思います。

 我が国は、全頭検査という消費者の安全、安心に対する要請にこたえる、こういう体制でBSEに対する対処をしてきた結果として、世界でも非常に珍しい二十一カ月齢の感染牛を見つけ出して、そしてまた生後二十カ月以下をBSEの検査対象外とする大きな根拠になったんだろう、こういうふうに思います。しかしまた、アメリカでは牛は群れで飼育されていて、我が国のように個体管理がされていなくて、正確な月齢は確認できない、こういうお話です。

 輸入再開交渉で、米国は、枝肉の成熟度によって判別可能、こういうようなお話を先ほども伺いました。流れ作業の中で検査員が目視で確認するという検査方法というのは米国関係者からも不備が指摘されている、こういうふうにも聞いております。

 年間三百五十万頭、こういった牛を処理するアメリカで、今後も月齢判別が有効かどうかという検証は時間がかかっても行う必要があると思いますが、まず、どのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。

○沖谷参考人 格付のその時間については、そのとおりであって、見てきたんですけれども、最終的には、報告書の最後に書いてありますように、A40を採用するというふうに決まった場合に、もっとはっきりマニュアルをつくるということができるようにと、現状は、A40にするかということを何も決めないで調査した結果としてこの数字が出てきたということで、今、A40ということとA50をきちっと識別できるようなことに決まれば、いろいろな手だてをやっていくということを期待しているわけです。

 それで、我々は、その手順とか、いろいろやったらいいというふうに提案しているわけですけれども、この間、農水省とそれから厚生省の関係者が現地調査に行きまして、こういうことの考えが出されたというふうに聞いております。

 A40を月齢判別に使う場合には、格付検査員がAの00からAの50までの標準写真サンプルを携行することや、通常の格付工程で対日輸出用に選別した牛枝肉を対日専用作業ラインにさらに移して再確認する、改めてA40以下かどうかを再度確認して最終判定するという考え方が示されております。

 以上です。

○白保委員 アメリカ農務省は、全米における家畜の個体識別、追跡制度を段階的に導入して、二〇〇九年から義務づけると発表したようですけれども、このような制度が本当に導入されれば米側の月齢判別の仕組みも整う、こういうふうに考えてよろしいんでしょうか。

○沖谷参考人 はい。まさにそのとおりだと思います。個体識別の制度を導入するというメリットは、必ずしも単純に月齢だけを知るためじゃなくて、病気が起こったときのトレーサビリティーあるいは飼養条件等々、新しい技術の開発とか、いろいろなものに役に立つわけで、それらも含めた利点だと思います。月齢については、出生時に個体識別のマークをつければ確実にできることは明らかであります。そのとおりだと思います。

 以上です。

○白保委員 では、次に、山内参考人にお伺いいたしたいと思います。

 山内参考人は、新聞で見ましたけれども、「人の健康こそ重要」、そしてまた「日本の対策で世界貢献を」、こういうような新聞のインタビュー記事を見ました。

 そこで、お伺いしたいと思います。

 どちらも感染していない、感染している可能性がない牛、どちらも感染している可能性がないとは言えない牛肉で、どちらも特定危険部位を除去した検査済みの三十六カ月齢の牛と未検査の十八カ月齢の牛では、大変失礼な話ですけれども、参考人はどちらをお選びになりますか。感染している可能性がないと言えない牛肉で、特定危険部位を除去して検査済みの三十六カ月齢の牛と十八カ月齢の牛では、もしお選びになるとするならどちらの方をお選びになりますか。

○山内参考人 済みません。私、耳が余りよくないので、ちょっと、今の御質問をもう一度。

○白保委員 どちらも感染している可能性がないと言えない牛肉で、特定危険部位を除去した検査済みの三十六カ月、それと十八カ月、選ぶとしたならどちらをお選びになりますかという、大変失礼な話ですけれども。

○山内参考人 済みません、ちょっと。どちらも感染していない……。ちょっと……(白保委員「言い切れない」と呼ぶ)言い切れない……。(白保委員「ただ、検査は済んでいますよ」と呼ぶ)

 私は、ともかく、検査をするということと特定危険部位の除去のこの二段構えをやったものしか選べないというふうに考えております。さらにもっと若い牛の場合にどうなるかという意味でしたならば、これは最終的には確率論の問題。ですから、非常に低い確率であると考えればいいのかもしれません。

○白保委員 我が国の消費者の七割が全頭検査を必要と答えています。二〇〇一年にBSEが発生し、牛肉の消費量が激減しました。安全、安心を求める声にこたえる形で全頭検査の体制が確立したわけですね。

 今日、全頭検査によっても、検出に限界があって、絶対安全、こういうふうに保証されているわけではないということも多くの消費者は承知はしておりますけれども、なおかつ全頭検査を必要としているのはどういう理由なのかということが一つ。それからもう一つは、全頭検査が二十一カ月齢のBSE感染牛を発見したことは大きな意味があったというふうに言えるのではないかな、こう思いますが、この二つについてお伺いします。

○山内参考人 全頭検査を消費者が支持しているというのは、やはり二〇〇一年十月からの全頭検査採用によって、あの時点では確かに安全、安心というふうな形で社会にはPRされました。

 我々専門家は必ずしもそうは思っておりませんで、全頭検査と特定危険部位の除去と両方である。ただし、特定危険部位の除去に関しては、きょう申し上げましたように、まだ幾つか問題点が残っていた、それを全頭検査がカバーしている、そういうとらえ方をしてまいりました。そういった点については、機会があるたびに、いろいろな講演会などでも、なるべくそういう知識を皆さんに伝えるように努力もしてきたつもりです。

 ですから、現在、全頭検査を支持するという立場の人たちは、当初の安心、安全ということと、さらにもう一つ、もっとしっかりとした理解のもとに支持するという、両方の方がいるんだろうというふうに私は思います。

○白保委員 厚労省、農水省両省から、米国産牛肉の輸入の再開条件を諮問される場合も、そもそも日米の考え方の違いというのがありますから、評価はなかなか難しいんじゃないかな、こういうふうに思うんです。アメリカの方針というのは、先ほどもお話がありましたが、獣医学的な観点で一定のリスクを容認する。我が国の食品安全委員会は、先ほどの新聞にもありましたように、人の健康を前提に、医学的知見から評価する、こういう相違がありますね。

 この違い、これでもって評価とかあるいは諮問とか言われても、これは大変なことだと思いますが、この違いについて、どういうような影響が諮問された場合に出てくるのかな、こういうふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○山内参考人 人の健康を重視する立場。まず、日本の場合には、薬害ヤコブ病、百人以上の患者を出したということで、国民の中でこのヤコブ病の悲惨さというのはかなり認識があると思います。そういったことがやはり根底にはあるだろうと思います。そして、アメリカの場合には、多分、そういうことよりはもっと多くの、いろいろな背景の人たちがいる国ですから、ヤコブ病そのものに関する認識も日本のように十分に普及できているとは思えません。

 基本的な考え方の違いのもとに今後諮問が出てきたときどうするのかということに関しましては、先ほど申し上げましたが、リスク評価における定性的な評価の手法、これを一応つくってまいりました。これはそのままアメリカの場合にも当てはめられます。考え方の違いとは関係なしに、客観的にそれぞれの要因を判断していくことは可能だと思いますので、技術的には十分に対応できるというふうに考えております。

○白保委員 アメリカは、北米の方の大陸で見つかった牛はみんなカナダ産だ、BSEが見つかったのはカナダ産であると、こういうふうな言い方をする。みずからは、要するに暫定的な清浄国だ、こういうような言い方をしておりますが、国際的にはBSE発生国とみなされると思います。したがって、今後、アメリカのBSE発生の可能性について、この辺はどのようにお考えでしょうか。

○山内参考人 アメリカ政府がつくった国際調査委員会の結論でも、北米全体として見た場合に、アメリカにおけるBSEとみなしているわけです。ですから、アメリカで見つかったのがカナダ産であるということは、これは何も理由にならない。

 それから、暫定清浄国というのは、これは自分の国が勝手にそういうふうに言うだけのことであって、輸入する国がそうは思わないということであれば、十分にそれは対応できる話だろうと思います。

 そして、アメリカでのBSEがどうかと言われると、少なくとも、EUの地域的BSEリスク評価、これは昨年でしたか出ましたので、アメリカはレベル3ということで、日本と同等の汚染の可能性があるといったような評価もされています。それはえさの問題が特に大きいわけですが、かなりBSEの広がっている可能性も考えざるを得ない、そういうふうに考えられるんだろうと思います。

○白保委員 まだまだお聞きしたいことがいっぱいありますが、時間でございますので、これで終わらせていただきます。