国 会 質 問
平成17年04月13日
衆議院 農林水産委員会
農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案
(内閣提出第四二号)
特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)
○白保委員
公明党の白保台一でございます。
きょうは、遠藤参考人、武内参考人、後藤参考人の皆さんには、お忙しい中を大変に御苦労さまでございます。
初めに後藤参考人にお伺いをしたいと思いますが、先ほどもお話ございましたように、比内地鶏で成功なさって、全国の農業者を大変勇気づけたんじゃないかな、こういうふうに思っております。都内にもさまざまな専門店が目立っておりまして、食したことの経験がある人がいっぱいいるんじゃないかな、こういうふうに思っております。
ただ、そうはいっても、これは一朝一夕に今日を築かれたわけじゃありませんから、大変御苦労をなさったんじゃないかな、こういうふうに思っております。これは、消費者がどこのだれかということをよくお考えになって、飼養管理を徹底化して、ぶれることなく今日まで頑張ってこられた、それが一つの大きな要因だったんだろう、こういうふうに思っているわけであります。
ブランド化に成功されましたが、言いかえますと、品質や流通、供給に責任を持つということであり、そういうことをきちっとやっていけば経営上のリスクをかなり負うわけですね。BSEや鳥インフルエンザなどの病気、偽装表示や風評被害、こういったものが発生すれば、また壊滅的な打撃も受けるわけです。
そういった中で、優位性を高めるということでトレーサビリティーも進んでいきますが、これはまた農業者にとっては一つ大きなリスクをしょうわけでありますけれども、他産業の企業以上にリスク管理が重要であり、行政のセーフティーネット、こういったものも必要だと思いますが、これまでの経験からして、どのようなお考えをお持ちでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
○後藤参考人 比内鶏に関しましては、私は得意分野でありますので、ちょっと長くなりますけれども、よろしいでしょうか。済みません。
ブランド化をいかにしてやったかということなんですけれども、私は、昭和六十二年から始めまして、六十三年に部会を結成したんですけれども、この部会を結成するときに、どこに販売をするかという、相手を、ターゲットを決めたということでありまして、これを首都圏に絞ったわけです。
ですから、六十三年に部会をつくったときに、もう既に、今でいうトレーサビリティーですね、飼育管理、これを徹底したわけです。というのは、飼料、あるいは与えるものはすべて農協を通すようにと。そうしないと管理できないものですから。そして、農協にそれぞれ個人個人、鶏の専門口座を設けました。その口座を全部経由して買っていただきますので、そうすると、その人がどれだけの羽数を得てどれだけのものを使ったかというのがすべて一目瞭然であります。
それと、六十三年に農協の方で五万羽体制で処理場をつくっていただきましたけれども、農家が一日に三軒でも五軒でも一緒に出荷しますけれども、一切まぜない、全部分けています。そして、冷蔵庫に入れるにしても冷凍庫に入れるにしても、すべて分けておきます。ですから、どこの店にだれの鶏が行ったのかまで、これを六十三年からやっていました。ですから、今でいうトレーサビリティーというのは、我々からいうと何だこんなものという感じさえする。それくらい、我々としては最初から厳しいものにしていましたので。
それから、行政としてどういうことをしてくれたのかということなんですけれども、この五万羽体制ではもう足りなくなりまして、それで十五年度予算で、国のアグリ・チャレンジャー事業を使わせていただいて、今二十万羽体制で、衛生的な管理のできる立派な処理場をつくっていただきました。それに合わせて十六年度には素びな供給も、これもアグリ・チャレンジャー事業でやらせていただいておりますので、行政の方でも大変力を入れていただいておりますので、この場をかりて御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
○白保委員 武内参考人にお伺いいたします。
私は、食料自給率の問題も当然あるんですけれども、食料安全保障、こういった観点から、我が国は農地をこれ以上減らすわけにはいかないだろう、こういうふうに、どなたも考えると思いますが、思っています。ですから、どのような個人であれ企業であれ、継続的に農業を営み、農地を保全していくのであれば支援すべきだな、こういう段階に来ているんじゃないかな、こういうふうに思っています。
ただ、農地法の根本的な考え方が自作農主義ですから、そういう中であれば、個人であれ企業であれ、だれでもいいというわけにはいかない部分もあるわけですね。そういう根本的な考え方が、今日農地が失われている結果になってしまったのではないかという見方もあるんです。
しかし、採算性本位の企業が日本の農地保全に一定の役割を果たすことができるのかどうかということが一つありますが、その辺のお考えはいかがでしょうか。
○武内参考人 農地保全に企業がどうかかわれるかということについては、先ほど民主党の先生からもお話ありましたように、国営農地を見るにつけて、これは個人や地元のJA単位ではもう限界があるなと。百ヘクタール、二百ヘクタール単位で何百億という投資をして、実際には牧草、あるいは牛を放牧して草地に放してある。耕作はしているというふうになってはいますが、実際にはしていないところがほとんどでございますね。これは、やはりある組織でないともうやっていけないだろうと。先ほど大建工業の遠藤さんからもお話がありましたように、開墾する費用というのは非常にお金がかかります。ですから、これは個人でやりますと、恐らく一年、二年でパンクしてしまうだろう。
ですから、私どもは今のところは開墾もやっておりますが、やはり一ヘクタール、二ヘクタール、あるいは十ヘクタールという単位でやっていかないと私ども企業は採算性が成り立ちませんので、大規模にやっていくために、あるいは農地を保全していくには、一ヘクタール、二ヘクタールじゃなくて、十、二十、百という単位で考えていくと、やはり企業が、あるいは農業法人の大規模化がどうしても必要であろうと。そこには農業法人の、あるいは企業の収益性、あるいはきちっと事業計画が前もってあって進めていかないと、これは途中でとんざする可能性があるなというふうに思っています。
○白保委員 消費者が、安全、安心、そういったことを求める、そういう時代に入っていますが、武内参考人の会社ではマーケットリサーチを十分にされて消費者の質的変化を的確にとらえていらっしゃる、こういうふうに伺っています。
ところで、私ども公明党でも、マニフェストに、有機農家や減農薬栽培農家の倍増、これを掲げておるわけですが、なかなかヨーロッパみたいには、うまいぐあいにばあっと進んでいくという状況にはないわけであります。
有機農産物の市場性がまだまだ小さいのかということ、あるいは生産者のコスト意識なのか、あるいはまた行政の取り組みが問題なのか、どの辺に問題があるというふうにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
○武内参考人 今先生御指摘になりましたところ全部だと思うんですが、私はヨーロッパも見て回っておりますが、日本は、JAS法で有機の法律をつくっておきながら、登録認定機関にも生産者にも、あるいは検査費用も、一円も補助がない。これが日本の有機農業の実態じゃなかろうかと思います。
今議員連盟ができて活動されておりますが、やはり支援がないこと、市場性がないのではなくてつくってないだけだと思います。ヨーロッパでは三から七%ぐらいの市場性があるわけですが、日本では〇・一七%、ですから、潜在的なマーケットは非常にありますので、その市場をつくっていけば拡大しますし、当然自給率アップにもつながるというふうに思って今活動しております。
○白保委員 では最後に、遠藤参考人にお伺いしたいと思います。
中山間地域で耕作放棄地が非常にふえています。なかなか歯どめがかからない、こんなような状況も結構あるわけです。それで、こういったところに企業が参入することがいいんじゃないかという、そういう期待する向きもあるわけですが、実際には、棚田とかこういったものが多くて、これはもう条件の悪い中山間地域に企業がなかなか参入はしにくい、こういうふうに思うわけですね。経済原理からいえば、企業が求めるのは、平たんであったり、日当たりがよかったり、水はけがよかったり、そういったところを、一番経済価値の高いところを求める、こういうふうに思うわけです。
耕作放棄地を開発、今開墾という話もありましたが、するのであれば、ベンチャービジネスと同じように、企業支援の体制、こういったものを強化することで大きな動機づけになっていくんじゃないかと思いますが、遠藤参考人のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○遠藤参考人 今ほどのことは、先生がおっしゃるように、もうまさにそのとおりだと思います。
放棄地といいますのは、基本的には、皆さんがあきらめて捨てた土地だと言っても過言ではないと思います。ですから、いい条件の場所ではありません。ですから、開墾をするに当たっても、武内社長がおっしゃったように、かなりの初期投下のお金がかかりますので、やはり個人レベルでは非常に難しいということで、国からのバックアップがあればそれは大きな力になると思います。
○白保委員
それからもう一つ、株式会社の参入していくことの反対意見の一つとして言われるわけですが、産業廃棄物の不法投棄、こういったものを懸念する声もあります。現実に、ある県の農業者から聞いた話ですけれども、農地に産廃を埋めて、そこに土をかぶせて、それからクリの木を植えて農業をやっているような感じ、これで会社は逃げてしまう、こういうことがあって、これはモラルの問題ですけれども、そういう廃棄物処理法の問題になっていくわけですけれども。
農地保全のためには農地利用の義務は厳しくする必要がある、こういうふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○遠藤参考人 今ほどの話なんですが、現在、遊休農地であるがゆえ雑草が生い茂り、さまざまなごみの不法投棄があちらこちらで確かに見受けられます。でも、それは不法投棄があるがゆえに、これは業者ではなくて、一般の民間の方たちが見えないから捨てるというのが一番の大きな問題だと思っております。
私個人の考えですが、特区参入した業者の方たちは、多分、今の状況を脱却しようということと、再生を目指して入ってくるわけですから、あえて最初から目的を見失って自分の首を絞めるような、そういった産廃を捨てるとか処分するとか、そういったことは私個人としては考えられないと思います。
初めから不法投棄を目的とする業者がいるとすれば、これは武内社長もおっしゃいましたが、市町村レベルでしっかり、参入するに当たっての協定書づくり、それから監視をしていけばこれは完全に防げることだと思います。
○白保委員
私の選挙区に東北の楽天イーグルスがキャンプを張った久米島というところがあるんですけれども、そこの建設業者が、島の中の事業が少なくなったときに、多くのあいているサトウキビ畑を全部借り受けてサトウキビをつくって、島の中で一番多い収穫を得ているという、こういういい例もあるものですから、そういうふうにみんなが皆さんと同じように頑張ってくれればいいなと、こんなような期待を寄せながら質問を終わります。