国 会 質 問
平成17年03月29日
衆議院 農林水産委員会
政府参考人出頭要求に関する件
農林水産関係の基本施策に関する件
○山岡委員長 次に、白保台一君。
○白保委員
限られた時間で質問をいたしますが、きょう配付されましたこの新しい食料・農業・農村基本計画、これに関連して何点か確認の意味も含めてお聞きしたい、こういうふうに思います。
ここに至るまでの間に、私どもの党の部会にも何度も足を運んでいただいて、役所の皆さん方に説明もいただきましたし、議論の経過も伺っておりますし、また、昨年来、私どもの党代表が農業フォーラム等を全国で行って、去年の四月に提言を行いました。また、今回もこれらに基づいて九項目の提案もいたしておりますし、そういったこともありますから、余り細かくぎりぎりという話にはならないで、確認の意味も含めてお聞きしたいな、こういうふうに思っております。
最初に、食料自給率の問題です。
この問題については、この目標達成には、年間にカロリーベースでいくと〇・四二ポイント、そしてまた生産額ベースでいくと〇・六ポイント、これを引き上げていかなきゃならない。容易じゃないと思うんです。大変なことだと思う。
それで、カロリーベースの食料自給率を一%上げるには、新たな国内生産量やあるいは消費拡大量を具体的にどういうふうに考えておられるのかということが一つ。そして、そのためまた、地産地消というものも非常に大事になってくるんだろう、こう思います。新計画を通してどういう取り組みをなされるのか。地産地消についても、これは強化していかなきゃなりませんが。この点について、まず二つ、お聞きしたいと思います。大臣。
○島村国務大臣 お答え申し上げます。
新たな基本計画では、食料自給率の向上に向けて、地域の消費者ニーズに即応した農業生産と、生産された農産物を地域で消費しようとする活動を通じて、農業者と消費者を結びつける地産地消の全国展開を促進することといたしました。
また、基本計画を踏まえ、地域における地産地消の実践的な計画を策定し、それに基づき、地元消費者のニーズを把握するための交流活動や、あるいは地場産農産物の普及活動などを農業者団体や食品産業など関係者の主体的な取り組みとして促進することとしております。
これらの取り組みを通じ、食料自給率向上の観点からも、地域の農業者と消費者を結びつける地産地消を積極的に推進してまいる所存であります。
○村上政府参考人 食料自給率を一%向上させるために例えばどういう生産拡大をすればいいか、あるいは消費面でのどのような取り組みが必要かという御質問でございますけれども、一%を向上させるための試算を、計算をいたしますと、これはあくまで品目を特定した単純な試算でございますけれども、平成十五年度の一人当たり総供給熱量を前提としまして、一%向上させようとすれば、全国民が現在よりも米を一年間に二・七キログラム、一日二回御飯食としまして、一食につき御飯を一口多く食べる。それから、他方で、その熱量分を輸入された畜産物や油脂類の消費を減らすというようなことが必要になるわけでございます。
ただ、現在の食料自給率目標は、望ましい食生活、これは炭水化物それから脂肪、たんぱくの構成比が適正なものとしてカロリーを計算して、その上で米の消費を維持したり、それから農業生産面については、需要の見込みに対応した形で、その課題が解決されて品質や生産性の向上を図る、そういう実現可能な最大限のものを見込むという形でやっておりますので、複合的な取り組みによって引き上げていくということでございますので、今申しましたような計算は可能でございますけれども、全体としてはやはり生産面と消費面、特に消費面の食生活の改善、生産面における最大限の努力、これが相まって達成されていくというふうに考えております。
○白保委員
そういった意味では、食育というのも非常に重要なことだろう、こういうふうに思うわけであります。計算上はうまくいっても、生活の中にそういったものがなければどうにもならないわけですから、また食育基本法も上がっておりますので、その成立のために頑張っていきたいな、こう思っております。
そこで、担い手の問題について確認をしておきたいと思います。
担い手についてはさまざまな議論がなされている。そういった中で、議論の末に、集落営農も対象にされる、こういうような状況になったわけです。これについてはばらまきという批判もありますけれども、それはそれとして、担い手に集落営農が加えられたその経緯と、それからまた、これから一定水準の集落営農の組織体制を拡大する取り組みをすべきじゃないか、こういうふうに思います。その取り組みについて、高齢化していく個別農家がフォローされたり、あるいは個々の認定農業者も育っていくのではないかと思いますので、御所見を伺いたい、このように思います。
〔委員長退席、楢崎委員長代理着席〕
○須賀田政府参考人 集落営農を担い手に位置づけた経緯でございます。
現在、全国で約八万の水田集落がございますけれども、そのうち、半数におきましてはいわゆる主業農家がいないということでございます。主業農家はいないものの、地域ぐるみで農地や農業用水の利用調整が行われている。こういう実態を踏まえますと、担い手の育成といった場合には、やはり多数の農家の参加し得る形での担い手を考えざるを得ない。米政策改革において一定の集落営農を既に担い手として位置づけているというようなこともございまして、一元的に経理を行い、法人化する計画を有するなどの経営実体を伴っております集落営農を新たな経営対策の対象とするということにしたわけでございます。
そして、この集落営農を実際に育成する場合、非常に難しい点は、まずそのメリットを示して参画を呼びかけないといけない。そのためには、コーディネートする地域リーダーが要る。先生が言われましたように、ややもすると高齢者とか女性の方々が消極的ということがございます。こういうことで、私どもの予算で、こういう地域リーダーの育成、あるいは集落営農の組織化を図るための計画の作成等を計上しております。そのほかに、農林水産省内に、岩永副大臣を座長といたします、地域で考える担い手創成プロジェクトチームというのを去る二月四日に立ち上げまして、団体と一緒に、この夏を目途といたしまして、全国的な担い手育成・確保運動に取り組んでいるところでございます。
○白保委員
そこで女性ですが、農水省の最新の調査では、農業経営に積極的にかかわりたいという女性が四割、報酬をきちんと受け取りたいという意向も六割近くになっている、こういうような状況です。それは若い世代ほどそういうような意向が非常に強い、こういうことです。
そこで、女性に対する総合的支援策、これについてしっかりと講じていくことが家族農業経営の再生産につながっていく、こういうことで、担い手の安定確保につながるというふうに思いますが、この点について御所見を承りたいと思います。
○大口大臣政務官 女性は農業就業人口の約六割を占めておるわけでございまして、農業、農村の担い手として重要な役割を果たしておるということは委員御指摘のとおりでございます。
このため、新たな基本計画の中でも、女性の農業経営や地域社会への一層の参画を促進することとしております。
農林水産省においては、新たな基本計画に基づき、家族経営協定の締結の促進などを通じた女性認定農業者の拡大、集落営農の重要な一員として女性グループの参画の促進、研修、交流会の開催、情報提供など女性の経営参画促進のための環境づくりなど、女性農業者に対する各種支援策を積極的に講じてまいる考えでございます。
また、農協の女性役員、女性農業委員参画目標の設定及び達成に向けた普及啓発等も推進する、こういうことでやってまいりたいと思います。
○白保委員
そこで、農地の問題を次にお聞きしたいと思います。
単純な計算だと思いますけれども、ある人の試算によれば、人間一人が自給自足するために最低四アールの農地が必要だと。日本の人口一億二千万ですから四百八十万ヘクタール、現在の日本の農地は四百七十一万ヘクタール、国民が生きていくためのぎりぎりの農地しかない、こういうような試算をされております。今回も農地の問題がいろいろと議論をされておりましたが、結局、株式会社の問題についても、リース方式による、こういうようになってまいりました。そこで、今回も農地を農地として利用する国土利用。農地利用の規制のあり方は今後の課題にされた、こういうふうに言われています。農地制度の抜本改革というものが構造改革にも非常に大きく資するわけですが、このテーマは今後どういうふうになさるつもりなのか、時間がありませんので、できるだけ短く答弁をお願いします。
○岩永副大臣 農地がなければ農業ができないわけでございますので、本当に農地というのは大事にしていかなきゃならぬ、このように思っております。
ただ、先生、うれしいことに、平成三年に三万五千八百三十の農地転用が平成十五年に一万八千に実は減っているわけでございまして、約半減しております。また、農用地についても七千八百四十一ヘクタールが二千八百五十四、本当に三分の一ぐらいになってきている。
だから、今国会に提案をいたしております農業振興地域整備計画の変更の際に、地域住民の意見を聞く仕組みというものを創設したいというようなことでございまして、違反転用事案に対しては迅速に対応してまいる考えでございます。
優良農地の確保の観点から、農業振興地域制度及び農地転用許可制度の一層の適切な運用を図っていきたいし、厳格にしていきたい、このように思っております。
〔楢崎委員長代理退席、委員長着席〕
○白保委員
短く、元気に、わかりやすく答弁いただきまして、ありがとうございます。
今回の基本計画の中で、私どもも強く主張いたしましたが、工程管理、工程表の導入について申し上げました。工程表の導入については、一つ一つの施策の実効性を高めるために大変いいですし、大事なことだ、こういうふうに思います。
そこで、工程管理で政策を評価、検討して、必要に応じて施策内容の見直しを行うことになる、こういうように思いますが、この工程表をつぶさに見ていくと、達成目標の内容がちょっとぼやっとしているかな、こういうふうな感じのものも見受けられるものがありますので、施策がきちっと詰められた段階でより具体的な記載に変えるという、こういったことも改定が行われていくのかどうか、その辺についてお伺いしたいと思います。
○小林政府参考人 御指摘がございましたように、今回の基本計画にあわせまして工程表を公表させていただきました。工程表の中では、施策の推進に関する手順、あるいは実施の時期と手法、それから達成目標などが盛り込まれております。
この工程表を受けまして、その個々の施策、これを具体的にどうやって実現していくのかというのがこれからのポイントなわけでございまして、例えば、今回の見直しの施策のポイントの一つであります食料自給率目標の達成ということで申しますれば、この工程表を受けまして、政府や農業団体などの関係者から成る協議会を設立したいと思っています。毎年、関係者ごとの取り組み内容とか、その目標を明示いたしまして行動計画を策定する、その行動計画の達成状況の検証を行いながら、その結果についてはまた翌年以降の行動計画に反映させる、こういう一つのローテーションですが、こういった形で毎年の工程管理を進めていきたいと思っております。
また、これに限らず、各施策につきましては、今御指摘ございましたように、政策評価、これを積極的に活用いたしまして施策の効果などを検証し、当然、必要に応じて内容の見直しを行うなど、これも、翌年以降の施策の改善に反映させていくこととしております。
いずれにしましても、こういった形で工程表の的確な管理を進めていきたいと思っております。
○白保委
員 次に、総理もよく言われておりますし、大臣もそんなおつもりでやっておられると思いますが、攻めの農政、こういう言葉が出てまいります。これは、輸出拡大支援、こういったことも掲げられているわけでありますが、二〇〇三年の我が国の農産物輸入額四兆四千億円、輸出は二千億円、世界最大の農産物の輸入国、こういうことはもう事実であります。
我が国は、狭い国土の上に山間地が多くて、農業生産の要素である農地が圧倒的に少ないという現実もあります。そういった中で、新計画では、世界的な日本食ブームやアジア諸国の経済発展を好機として、我が国の高品質な農産物、食品の輸出の本格化に向けた取り組みを促進する、こういうふうにしているわけでありますが、我が国が輸出に力を入れていこうとする、そのことについて大臣の御所見をお伺いしたい、このように思います。
○島村国務大臣 お答え申し上げます。
農林水産物の輸出拡大は、まず、国内生産の拡大を通じて農林漁業者の所得の向上に寄与するという意義があります。また、それにとどまらず、自分が生産した農林水産物が海外で高い評価を受けることにより、農林漁業者の発想の転換、あるいは勇気と活力にもつながり、農林水産業の活性化が図られるという意義もあると考えております。
このため、攻めの農政の柱の一つとして、国産農林水産物の輸出促進に全力で取り組んでまいりたい、総理からもよくそういう御指摘がありまして、我々は今一丸となってそのことに取り組もうとしておりますが、現状、今三千億ぐらいです。これを何としても五年間で倍増しようと、大変大胆なもくろみを今やっておりますが、私は、これは一つには、果物もさることながら、長芋とか、あるいは水産物であるスケトウダラとか、最近数字の上ではかなり大きく伸びてきておりますのと同時に、野菜の質が、海外と日本とでは、全く比較にならないぐらいすばらしいわけですから、これの輸送の手段その他について新たな技術の進歩が確保できれば、それなども大きな展開が期待できる、こう思っておりますので、またお知恵を拝借したいと思います。
○白保委員
最後の質問になりますが、今回の新しい計画についていろいろな御報告を受けながら、議論しながらやってきた中で、ぎりぎりまで非常に議論が厳しかったのが農業の環境政策、これに非常に厳しいものが出ておりました。
環境保全を重視した施策展開を掲げておりますけれども、環境への負荷を少なくし、環境と調和をした農業生産方式が当然国際的にも求められているわけでありまして、我が国の消費者も有機農業や減農薬栽培の農産物を志向しているわけであります。
循環型社会の形成、二酸化炭素の排出量を抑えるという点で有機農業への転換というのは農産物と農業の両方の価値を高めると思いますし、今後、日本の農業全体が環境保全型農業に移行しなければならない、こういう時期が早晩訪れてくるんじゃないのかというふうに思います。
新基本計画で環境保全型農業の展開を挙げながら、有機農産物の増産や有機農業の農家を増加させる、こういったものが、目標というものが余り定められていないんじゃないかなと思いますが、そのことについてはどのように考えておられるのでしょうか。
○白須政府参考人 ただいまの有機農業の関係でございます。
委員も御案内のとおり、有機農業は、土づくりを基礎といたしまして、化学肥料あるいは農薬を使用しないということを基本とする農業でございます。お話のとおり、やはり環境保全を重視する農業生産の一つの形態だということで、また、消費者の安全、安心の要請にもこたえるというものでございます。私ども、推進をしておるわけでございまして、また、新たな基本計画におきましても、有機農業に関する経営の展望も示されているところでございます。
ただ、委員も御案内のとおり、我が国は、欧米諸国などと比べますと、夏に高温多湿になるといったようなこともございまして、病害虫の発生が多いということで、また雑草の生育も大変旺盛でございます。したがいまして、有機農業を行う上で、自然条件に恵まれているということはなかなか言いがたい状況にあるわけでございますので、やはり、有機農業を推進していきます上では農業者の主体的な取り組みを支援してまいりたいということでございまして、これまでもいろいろな形で、技術の開発普及でございますとか、表示の適正化、あるいは技術導入、消費者との連携といったようなことで支援をやっているわけでございますが、今、委員からもお話がございましたように、新たな基本計画におきましては、こういった有機農業はまさに環境保全を重視する農業生産の一つの形態でございますので、その中におきまして、環境保全が特に必要な地域におきまして、農業生産活動に伴います環境への負荷の大幅な低減、そういうことを図ります先進的な取り組みに対しまして今後支援を導入するということで、十九年度からの導入に向けまして、環境負荷の低減効果に関します評価あるいは検証手法、こういった手法の確立につきましての調査を十七年度から実施させていただきたいというふうに考えている次第でございます。
○白保委員
終わります。