国 会 質 問
平成17年03月17日
衆議院 農林水産委員会
政府参考人出頭要求に関する件
国の補助金等の整理及び合理化等に伴う農業近代化資金助成法
等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第九号)
山村振興法の一部を改正する法律案起草の件
○山岡委員長 次に、白保台一君。
○白保委員
初めに、近代化資金を税源移譲した理由について伺いたいと思います。
今回の三位一体の改革は、地方の自由度を高めて地域の実情に即した施策を効率的に進める、これを目的としております。農林水産関係の施策についても、その趣旨に即して改革を進めていく必要があるんだろうと、こう思います。
今回の三位一体改革、これまでの地方分権改革を加速させるものでありますが、農林水産省においては、食料自給率の向上あるいはまた国土、環境の保全や食の安全、安心、全国的な視点で取り組むべき行政課題も多数抱えているところであります。
こうした中で、農林水産省も、昨年の八月の地方六団体の国庫補助負担金等に関する改革案に対して、当初、農林水産行政の大目的である食料の自給率の向上や国土、環境の保全は都道府県や市町村の領域を超える国の基本的な責務であり、国が責任を持って施策の実施を確保する必要がある、そういう考え方を主張されておりました。私どももまた、部会等もそういった考え方でいろいろと議論もしてまいりました。最終的には、政府全体の調整の中で、農林水産省においては、百十七本あった多くの補助金を七つの交付金にと、こういうふうに統合化を行うということで税源を移譲するのは、今回の法案の内容である農業近代化資金の利子補給補助の廃止を初め、農業委員会や普及事業の交付金とすることで決着がついた。これが流れです。
そこで、地方が廃止、税源移譲として挙げたもののうち、今回のこの法案の内容である農業近代化資金等の利子補給補助金がなぜ税源移譲の対象とされたのか。まず、基本的なことで副大臣にお伺いします。
○岩永副大臣 先生にもいろいろと御心労をおかけしてまいりました。
それで、最終的に農業近代化資金が税源移譲の対象になったということなんですが、一つには、この農業近代化資金が、税が県に直接財源として入るということでございまして、補助金関係の事務手続がなくなるというのが第一でございます。それから、二つ目には、地方の実情によってより弾力的な運用が可能になるというようなことで、地方の自主性、裁量性を生かすことが期待されるというところでございます。
この利子補給の補助金というのは国税を財源とする補助金であるわけでございますので、御承知のとおり、各県一律的な金が回る、そういうような性格を持っておる、一つの県に偏ったような財源なり支出ではない、こういうようなことでございますので、どこかの県に偏在するということがない、そういう部分がございます。
今後、税源移譲後、対象事業が地方公共団体の適切な裁量を生かしながらも確実に執行されて、税源を移譲しても問題ないというような状況で運営されるようにしてまいりたい、このように思っております。
○白保委員
次の問題ですが、農業委員会及び普及事業の交付金について伺います。
税源移譲額のうち最も大きな額を占めているのが農業委員会及び農業普及事業の交付金についてです。農業委員会及び農業普及事業の交付金については、基本方針二〇〇三、これを受けて現在組織のスリム化に沿って計画的に縮減を行っている途中であります。これらの交付金について、今回、人件費の一部を十八年度に税源移譲する、こういうふうにしているわけですね。
そこで、お伺いしたいことは二つあります。
一つは、今後、農業委員会の交付金の税源移譲によって農業委員会が農地の権利移動許可など法令に基づくところの業務をしっかり活動する上で支障が生ずることはないのかどうかということが一点。そしてもう一点は、農業普及事業の交付金の税源移譲によって、現場での担い手農業者への技術の普及や冷害等の緊急時の対応、こういうことについて支障が生ずることがないのか。この二つを伺いたいと思います。
○須賀田政府参考人 先生御指摘の農業委員会は、優良農地の確保、担い手の育成確保を業務としておりますし、また、農業改良普及員は、技術の普及という重要な役割を担っているわけでございます。
今般の税源移譲ということに当たりましては、地方の裁量を生かしながらも、その確実な執行が担保されているということを前提に私ども判断をさせていただいたわけでございます。そのために、先ほど副大臣から要件の御答弁がございましたけれども、基準財政需要額に算入をしている、長年にわたって継続して行われてきまして、自治体の業務として定着をしている、このような要件にこの両者の交付金は該当していたわけでございます。それに、農業委員会あるいは普及指導員が私どもの法律で必置ということでございまして、その制度は維持していくことにしたいということと、国が最小限これらの活動を支える機能の維持に必要な交付金は国の方に留保をして、今後も国から交付金を交付するようにしたいという担保をいたしまして、税源を移譲したわけでございまして、そういうような措置と今後の指導ということによりまして、現場で支障が生じないようにしたいというふうに思っております。
なお、この税源移譲後も、この農業委員会あるいは農業改良普及員、この実施状況は定期的に報告をしていただきまして、国に留保しております交付金を必要に応じ適正に交付するというようなことで、両方に課せられました業務がきちんと行われるようにしたいというふうに思っております。
○白保委員
次に、今後の農業近代化資金制度の運用、これについて伺います。
昨年十一月二十六日の三位一体の改革における政府・与党合意では、「国による基準・モニター等チェックの仕組み」として、補助負担金の廃止、縮減によって地方団体に移譲された事務事業については、地方団体の裁量を生かしながら、確実に執行されることを担保する仕組みを検討する、こういうことが打ち出されています。
今回の三位一体改革による補助金の廃止によって農業者への資金の融通に支障が生じることのないよう、地方において引き続き事業が確実に実施されるよう措置することが必要と考えられます。
農林水産省において、現場での事業実施に支障が出ないようモニタリングを実施するとのことでありますが、モニタリングによって地方がきちんと事業を行うことになるのか、都道府県に対して行うモニタリングの具体的な内容についてお伺いいたしたいと思います。
○須賀田政府参考人 税源移譲後も農業近代化資金がこれを欲する農家の方々にきちんと貸し付けられるようにするというのは非常に重要な視点というふうに認識をしております。
そういうことで、私ども、先生がおっしゃられましたモニタリングをするということにしておりまして、具体的には都道府県から定期的に、農業近代化資金の貸し付け条件、都道府県が貸しております貸し付け条件、それから予算措置、それから貸し付けの実績、こういったものを求めたいというふうに思っておりますし、融資機関である農協系統から都道府県の実施状況に関する相談だとか苦情だとかも把握をしていきたいというふうに思っておりまして、それらをあわせまして、また都道府県に対する指導、助言といったものに生かしていきたいというふうに思っております。
これらを通じて、農業者への円滑な資金の融通というものに支障のないようにしたいというふうに思っておるところでございます。
○白保委員
漁業金融についてお伺いしたいと思います。
我が国の水産をめぐる環境は、遠洋漁業の国際規制の強まりや周辺水域の資源状況の悪化などから、厳しい状況にあることは御存じのとおりです。漁業は資源変動や気候変動など、自然環境によって漁獲量が左右されます。これと相まって魚価も変動することから、経営が不安定、そういうことになりがちであります。また、多額の設備投資を必要とすることから、借入金依存度が高くなるところでもあります。
そこで、このような漁業の特性を踏まえれば、漁業者の活動に必要な資金を円滑に提供する漁業金融の果たす役割は極めて重要であります。今後、日本の漁業を支える漁業者、いわば担い手の育成が不可欠と考えますが、漁業経営の育成に向けた今後の漁業金融システムのあり方について、最後に大口政務官にお伺いいたします。
○大口大臣政務官 今委員が御指摘のとおり、魚価の低迷また資源の悪化、そういうものによる漁業経営の不振が続いていく中で、漁業者に対し必要な資金を確保するということは極めて重要な課題だ、こういうふうに認識しております。
このため、漁業経営の改善及び再建整備に関する特別措置法、漁特法に基づき、漁業経営の改善に取り組む漁業者が、低利で、漁船などの設備資金や、長期、短期の運転資金などの融通を受けられるよう措置しているところでございます。
また、今回の三位一体の改革に伴い税源移譲を行うこととしたこの漁業近代化資金や漁業経営維持安定資金については、都道府県へのモニタリングの実施により、引き続き漁業者に対する円滑な融通に努めていくこととしております。今後ともこれらの措置を通じ、担い手となるべき漁業経営の育成に寄与してまいりたい、こういうふうに考えております。
○白保委員 終わります。