国 会 質 問
平成16年11月30日
衆議院 農林水産委員会
参考人出頭要求に関する件
閉会中審査に関する件
牛海綿状脳症対策特別措置法の一部を改正する法律案
輸入牛肉に係る情報の管理及び伝達に関する特別措置法案
農林水産関係の基本施策に関する件
○白保委員
きょうは、生源寺参考人、山田参考人、森田参考人、大変お忙しい中に意見陳述を行っていただきまして、ありがとうございます。
まず、生源寺参考人、山田参考人におかれましては、本年一月から、食料・農業・農村基本計画の見直しに関する同審議会の企画部会において御熱心に御論議をいただいておりまして、大変敬意を表しておるところでございます。また、森田参考人も、先ほどから御意見を述べておられますが、私どもたびたび国会図書館に資料をお願いしたりしてお世話になっておりまして、ありがとうございます。
私どもも、党の部会などで、朝早くから農水省の皆さん方においでいただいて、毎週毎週、この食料・農業・農村基本計画の企画部会の皆さん方の御議論等も踏まえて勉強させていただいておるところでございますが、聞いておる議員というのは、日本は南北に長いわけでありまして、南北というか北東から南西というか、そういう感じのところですから、それぞれに自分が住んでいるところの農業の形態というのは違いますから、農業に対するイメージというのも随分違うな、そういうような感じを僕らも受けているわけであります。
先ほどもアジア・モンスーン地帯の気候の米づくりというお話がございましたが、そういう中で、日本は高度経済成長時代からずっと農業の人口というのは減少する傾向にあるわけですね。今はもう、最近ではWTOだとかFTAだとか、そういうことで欧米型の農業経営のスタイルに切りかえていくんじゃないか、日本の多くの零細農家や兼業農家は、そういうふうに言われてもどうなのかなということで、農政不信に対するものもあるんじゃないか、こういうふうな受けとめ方もしております。
そこで、生源寺参考人、そして山田参考人にお尋ねしたいと思いますが、今後の農政改革で大きなポイントである担い手ですね、この担い手に対する直接支払い制度の導入についてはまだまだ議論があるところだ、こういうふうに思います。一応、効率的かつ安定的な農業経営に取り組む農業者が担い手ということですが、年収五百三十万だとかあるいはまた四ヘクタールだとか、そういう細かい例示が出てくると、例えば私などは沖縄ですから、地元の離島の農家なんか、こういった人たちを見ていますと、これは意欲を失ってしまうんじゃないのかな。あるいはまた、その島の伝統的な文化をどう継承していくのかだとか、国土保全はどうなるのかとか、こういったことも含めていろいろと考えていかざるを得ないというふうに思うわけです。
また、山田参考人は、幅広い多様な担い手を支援すべきだとの主張を展開されておりますし、先ほども非常にまとめられたポイントをしっかりと意見を述べていただいたわけでございますが、日本の農業構造の改革がなされるために、担い手たる農業者を考える上でどのような観点が最も重要だ、このようにお考えになっておるのか。
まず生源寺参考人、そしてまた山田参考人と、順番にお答えをお願いしたいと思います。
○生源寺参考人 南北といいますか、非常に多様な農業があるということでありますので、これは品目も違えば、恐らく地域によっては個別の担い手もあれば集落営農型の担い手もあるということで、私自身は、将来行き着く先というのは、望ましい姿というのは比較的似通ったものになるのではないかと思いますけれども、そのルートが違う、こういうことかなというふうに思っております。
それから、担い手あるいは経営安定対策の対象につきましては、役所から例示が出ていて、これは一つの重要な参考事項として議論を進めているわけでありますけれども、特に単純に面積で割り切るというようなことがいいかどうかということ、日本の場合には小さな面積で収益性の高いものをつくるということで価値の高い農業を行っているという面がありますので、余り画一的にする必要はないのではないかと私自身は思っております。
ただ、全く、自分が手を挙げた方がすべて担い手である、こういう形にしていいかどうかということに関しては、やすきに流れるということがなきにしもあらずということもありますので、ここはやはり少し考える必要があると思いますし、私も申し上げましたけれども、やはり国民に利益がきちんと還元される、したがって、そういう支援を受けることについても農業者が胸を張ってそれに応じることができるような、そういう政策にしていく必要があるというふうに思っております。
それから、パッケージでということは、山田参考人もおっしゃいましたけれども、地域資源の保全策もそうでありますけれども、農村政策あるいは農業環境政策、それぞれの目的があるわけでございますので、すべての農家の方に行き渡る政策ももちろんございます、あるいは農家以外の方も含めてということもあるわけでございます。それから、農業に家計の多くを依存している方については、そういう意味では非常に価格の振れに対しては弱いわけでありますので、そこに応援する。こういうような形で、政策ごとに対象をきちんと切り分けていく。ただ、全体としてはこれからの農業、農村にとってバランスのよい政策が必要だ、こういうふうに思っております。
それから、私自身、欧米型というのか、あるいは極端に言いますと新大陸型といいますか、こういった農業に日本の農村がなるということに関しては、それが仮に純技術的にできることであるとしても、望ましいことではないと思っております。
○山田参考人 将来の我が国の農業像についてのイメージがどうも共通していないのではないかということを、津島先生へのお話の中でも私申し上げたところであります。それがどうしてもあるものですから、それでは育成すべき担い手をどう選ぼうかというときも、大変厳しい内容になってしまっているのではないかというふうに思っております。
白保先生が今おっしゃいましたように、四ヘクタールだったり、それから五百三十万円を実現するという絵のつくり方にしてもそうでありますが、実は、四ヘクタールの基準についてでありますが、現在実行しております米政策改革の中で担い手経営安定対策の要件がまさにその四ヘクタールであります。さらに、集落営農については二十ヘクタール規模ということになっておりますけれども、実際的にそれを実現できているのは、何と三万人ないしは集落営農では二百程度にしかすぎないわけであります。
もちろん、この点について、我々の努力がもっと必要だということはよく承知しておるわけでありますが、しかし、それにしても三万人と二百というのは極端に少ないというふうに思っておりまして、そういう面では、それぞれ地域実態があるわけですから、地域の中で担い手をやはり特定していく、それを支えていくというスタート台にぜひしていただきたいというふうに考えております。
○白保委員
御意見を伺うところですから私が余り意見を言ってもいけないのですが、やはりそれぞれの地域がしっかりと意欲を持ってやっていけるような方法というのは必要であろう、こういうふうに常々思っておるわけでございます。
生源寺参考人にお尋ねいたしますが、現行の基本計画の中心的なテーマは、食料自給率の向上ということだったと思います。ここ三十年ほどの間に四〇%にまで低下した日本の食料自給率は、新しい基本計画による農業構造改革で大きく改善されるというようにお考えなのかどうかということ。また、もう少し話はそれますが、中国が物すごいスピードで経済的に発展しています。それが将来食料輸入国に転じるような場合に、我が国への影響というのはどのようなものがあるとお考えなのか。この二つをお答えいただければと思います。
○生源寺参考人 第一点目でございますけれども、農業の構造改革の焦点は、結局水田農業でございます。水田農業につきまして、構造改革がきちんと進捗し、担い手がきちんとした形で耕作するということになれば、現在平たん部でも広がっている耕作放棄地等の解消というようなことを通じて、食料の自給力といいますか率といいますか、こういった点での改善といいますか、そういう道が開けていく、こういうふうに考えております。そのためにも、農業の構造をきちんと改革するということが大事だ、こういうふうに思っております。
もう一つの中国の問題でございますけれども、これは、私どもの国の十倍のオーダーの人がいるわけでありますので、その動向については非常に注意深く見守っていく必要があるか、こういうふうに思っております。
ただ、これはなかなか複雑でございまして、日本にとって、特に沿岸部等につきましては、日本の農産物の大変よいお客さんになっていく、こういう可能性があるわけでございます。逆に、世界の全体の流れでいいますと、穀物の輸入に関しては競合する形で生じてくるということがありますので、一概にこうだということはなかなか言いにくい面があるかと思います。こういう側面、ああいう側面、これをきちんと見きわめながらそれに準備をしておくということが非常に大事かと思います。
○白保委員
さて、山田参考人にお尋ねいたしますが、都市農業についてお伺いしたいと思います。
都市住民の最近の傾向としまして、特に安全で安心な食品を食べたい、あるいは新鮮な農産物を食べたいというニーズがあります。都市直近の農業、いわゆる都市農業が注目されつつあるわけですね。都市農業には、いやしの空間だとか、あるいは景観だとか環境保全という多面的機能もまた期待をされているわけであります。また、市民農園や定年後や週末の農業という、農地に対するニーズも強くあります。
先般も、私も三多摩の方へ行って都市農業に関係する方とお話し合いもしてきたわけですが、そういった中で、担い手に農地を集積して国際競争に強い農家を育てていこうとする農業構造改革とは、若干この都市農業というのは次元も方向性も違うものであるかもしれませんが、この分野について山田参考人はどのようなお考えをお持ちなのか、お伺いをしたいと思います。
○山田参考人 白保先生御指摘のとおりでありまして、都市農業はまさに消費者との一番の接点であるわけでありますから、そういう面では、それなりにしっかりやっているというふうに受けとめてはおります。しかし、遊休地をやはり出していたりするといかぬわけでありますし、さらにまた、セイタカアワダチソウが繁茂しているみたいな話は絶対いけないというふうに思っておりまして、そうした取り組みをさらにしっかりやっていきたいというふうに思っておるところであります。
また、実は我々JAグループ、三つの共生ということで、消費者との共生、次世代との共生、アジアとの共生というのを打ち出して取り組んでいるわけでありますが、消費者との共生やそれから次世代との共生と関連しまして、先生御指摘のありました市民農園や学童農園それから食育等の取り組み、そういうのを都市農業の一環としてもきっちり推進していけるというふうにしたいと思います。
ただ、残念ながら、都市農業につきましては、宅地並みというみなし課税が適用されていたり、要は高度経済成長期の農地の転用や宅地化路線がそのまままだ引き続き政策として踏襲されている部分があるのではないかというふうに受けとめておりまして、そういう点についての改善もぜひ必要というふうに受けとめております。
○白保委員
時間もあと一分になりましたので、今の都市農業の問題について、最後に出てまいりました、今の最後の部分はやはりきっちりと何らかの方策をとっていかないと、これだけ多くの都市農業に対するニーズがあるにもかかわらず、非常に整理がなされていないという部分もありますので、私どももそのことについてはしっかりと検討し、また改善をしていかなきゃならない、こういうことだけを申し上げて、きょうは三人の参考人の皆さん方、大変御苦労さまでございました。森田さんには質問ございませんでしたが、またいろいろと資料の面でお世話になると思います。よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。