国 会 質 問

平成16年05月27日
衆議院 農林水産委員会


政府参考人出頭要求に関する件
卸売市場法の一部を改正する法律案
特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案
競馬法の一部を改正する法律案


○白保委員 日本は、今、レストランや給食などで食事する外食だとか、外で買ってきてまたうちで食べる中食だとか、いろいろな面で、いながらにして世界じゅうのあらゆる国のものを食べられるということなんですが、こういう消費者や外食産業などのニーズに、我が国の農業生産が品ぞろえだとかあるいは価格の面で対応できない、そのことがまた自給率低下の大きな要因になっていると思います。川上の問題としての農業、川中、川下の流通や食品産業が食材調達にどうこたえていけるかということが食料自給率に大いにかかわる問題であろう、こういうふうに思います。

 つい先週、私は、もとの国連難民高等弁務官をやられていました緒方女史にお話を聞く機会があったんですが、今もまた、人間の安全保障をテーマにして、またJICAの理事長として活躍をされているわけでありますけれども、緒方さんは、日本の国益論は相互依存の世界の中での一部の議論にすぎない、自分の国だけで安全とかを議論しているようだが、単独行動からくるマイナスを考える、自分の行動が他にどう影響を与えるのか、人々の生活にどう影響を与えるのかは大事である、そんなことを語っておられたわけです。

 日本は、地球規模の気候変動や国際環境の変化のために食料不足が起これば、世界じゅうから食料を調達する、そういうことになるだろう。そうなると、世界の食料需給のバランスというのが崩れて、発展途上国に大きな負担を与えることになるわけであります。日本の食料自給率の問題は、世界じゅうの人々に影響を与える問題をはらんでいるわけであります。今後、我が国の消費者が国内農産物を志向することで国内生産量が拡大するような方向を見出していかなければならない、このように思います。

 しかし、我が国の消費者は、食の供給サイドに関して不信とか不安を持っております。申すまでもなく、BSE問題や鳥インフルエンザ、偽装表示問題、無認可の添加物、衛生管理問題、残留農薬など、近年、川上から川下に次々と問題が発生して増幅されているのであって、モラルの問題も含めて、我が国農業の構造的な改革の必要に迫られているのが現状であろうと思います。

 さて、我が国の農産物の流通は、卸売市場が中心となって物流ネットワークを形成して、農産物の安定的な大量供給を可能にしてきました。しかし、そこでは消費者と生産者というのは切り離されて、顔の見えない関係が続いてきたわけであります。問題が起これば、不信や不安というのは加速度的に増大する構造にあったと言えると思います。

 農産物の流通において、卸売市場では、野菜の取扱量が全体の八割を占めるなど、多様化する市場流通に押されているとはいえ、比重は非常に大きくなってきております。

 それで、全国の主要な青果卸の二〇〇三年度の売上高がまとまりました。十五年度全国青果卸ランキングというのが出ておりますけれども、その全体の八割以上が前年度より落ち込んでいます。消費の低迷だとかデフレ経済の深刻な影響がここではうかがえるわけでありまして、東京、大阪、名古屋などの拠点市場に比べて、周辺市場卸の売上高の落ち込みが非常に激しい。集荷力の低下とそれによる販売力低下が原因と指摘されているわけであります。このままいきますと、拠点市場化に拍車がかかって、市場は市場機能を失いかねない、こういう厳しさであろう、こういうふうに思います。

 そこで、お伺いいたしますが、大臣、卸の集荷力低下と拠点市場が進む現状の認識についてどのような認識をお持ちか、お伺いいたします。

○亀井国務大臣 産地また実需者の大型化、そういう面で、あるいはまた道路網の整備等々が流通による広域化を進めておりまして、大量取引が大都市の卸売市場に集中している傾向、こういうことがあると思います。

 また一方、集荷力の低下、こういう面で、地方の卸売市場は荷が集中する大都市の卸売市場から転送されている、こういうことがあり、また、物流コストの増大、取扱高の減少、こういう面で、地方の卸売市場が経営の悪化が進んできている、こういう実態だと思います。

 そういう中で、やはり今回の改正によりまして、市場の再編を通じまして、集荷力の強化であるとか買い付け集荷の自由化等を活用いたしまして、地方の卸売市場の集荷、販売力が強化されることを期待いたしておるわけであります。

○白保委員 そこで、卸売市場の集荷力低下という厳しい現実に対応するために、さまざまな試み、方法論が検討されております。報道によりますと、兵庫県内では、卸売会社が連携し窓口を一本化して、共同仕入れをすることで集荷力の安定や販売力強化を図って、市場機能を向上させようという試みもしているようです。

 従来、卸売会社は、産地開発と他社との競争で、独自の取引を持つことで差別化を図ってきたので、連携はなかなか難しくうまくいかないという指摘も、こういう試みに対してもあるわけであります。卸によるところの共同仕入れというのは、九州で七社が連携して行われたことがあるようであります。結局、各社の連携が難しいために中断してしまった、こういうふうに聞いております。

 そこで、産地JAや小売業の大型化が進む以上、市場は集荷力が安定的に高くあることが期待されます。そのためには、連携ではなくて事業提携や合併に行き着かざるを得ないと思いますが、御所見を伺いたいと思います。

○須賀田政府参考人 集荷力の低下いたしました市場が集荷力を強化する手法、先生おっしゃいますように、事業提携、合併が主体的方法でございます。そのほかにも、より規制の少ない、民営化もできるような地方卸売市場へ転換するだとか、あるいはネットワーク化をするだとか、いろいろな方法があろうかと思います。

 私ども、これを上から強制するのではなくて、地域の市場の特性を生かす方向でその地域の人たちに選択してもらう、いわゆる地域の意向を踏まえながら、どの道が適当かというのを選択して再編を進めたいというふうに考えております。

 したがいまして、今回の中に、卸売市場整備基本方針において地域の特性に配慮できる基準というのを明示を置いて、その上で卸売市場整備計画で地域の特性、要望を十分配慮して、その中に再編の方向を書き込む、こういう方法で対処したいというふうに考えております。

○白保委員 連携と個性化、差別化というのはまたなかなか難しい話なんだと思いますが、そういった指摘もございますし、ぜひ取り組みをしっかりとやっていただきたいと思います。

 今回の法改正で、卸の事業規制が大幅に緩和されるとともに、収益の八割を占める手数料が自由化されます。卸業者への影響が大きいと思われますが、ソフトランディングが求められていることだと思います。当面は、卸売手数料に関して開設者業務規程で定めることになるようでありますけれども、市場ごとなのか、卸業者ごとなのか、あるいは産地ごとなのか、手数料設定の具体的内容、議論もありましたが、改めて内容や指導方針、指針、卸業者への影響についてお考えを伺いたいと思います。

○須賀田政府参考人 今回の手数料の弾力化措置、機能、サービスに応じた手数料を取るということでございまして、全体として活性化をし、市場の利用度を向上させるというために行うものでございます。

 ただ、行き過ぎた競争の結果、かえって卸売市場活動全体から見るとマイナスということも考えられますので、私どもは、この実施までに五カ年の準備期間を設けたということで、その間に各市場における産地だとか実需者のニーズに対応してどのようなサービスを提供するかというのを十分議論をしていただきたいと思っております。

 それから、いざ弾力化ということになりましたら、開設者が定めます業務規程において手数料のことをみずから自主的ルールとして定める。例えば幅をつける、こういうケースについてはこうやろうじゃないかということを決める。それは基本的には市場ごとの開設者が業務規程で定めるわけでございますけれども、その内容については、これからどのような内容にするか、十分相談しながら決めていきたいというふうに思っております。

○白保委員 大臣、冒頭にも申し上げましたが、食品流通というのは、単に流通機構だけではなくして、国民の食の安全と安心を支えるライフラインでもあります。その健全な発展は非常に大事なことだ、こう思うわけであります。

 今回の法改正を目指す市場流通の将来像と卸、仲卸の位置づけについて、大臣の御所見を伺っておきたいと思います。

○亀井国務大臣 卸売市場、もう先ほど来申し上げておりますとおり、国内の生鮮食料品の流通のメーンチャネルであるわけでありまして、青果の七割、水産物の三分の二、こういうことで、食と農を結ぶパイプ、そして生鮮食料品の適切な価格の形成やあるいは円滑な流通、こういうことをしておるわけでありますし、さらには、生産サイド、消費サイドの双方のニーズに応ずる機能強化を図ることが必要でありますし、また、卸、仲卸は、卸売市場におきましてはメーンプレーヤー、こういう取引のメーンプレーヤーではなかろうかと私は思います。

 そういう面で、今回の改正によりまして、いろいろ、この卸、仲卸業者の役割の一層の発揮を図るために、卸売業者の第三者販売やあるいは仲卸業者の直荷引きに係る規制の緩和ですとか、あるいは買い付け集荷の弾力化ですとか、あるいは卸売手数料の弾力化、こういうことをして活動範囲の拡大をしておりますし、財務の健全化、こういうことをこの法改正によりまして図ってまいりたい、こう思っております。

○白保委員 次に、農産加工業と農業との連携の問題についてお伺いします。

 我が国の農産加工業は、国産農水産物の約四割が仕向けられて、食品産業全体が消費する国内農産物のうち大きな比重を占める存在であり、国民への食料供給の最前線であり、その役割もまた重要であります。農産物の輸入自由化やデフレ経済での価格低迷などの影響は、農産加工物、加工業を直撃するわけでありますが、原料、農産物を供給する農業にとっても大きな影響であります。

 しかし、農業が地域ブランド化を図るなど攻めの姿勢に立ったときに、農産加工業は大きな役割を果たすのではないかと考えます。農業生産サイドが潜在的需要のある高付加価値、高品質農産物を提供し、農産加工業を含む食品産業がこれを活用できれば、地域農業を大きく振興する可能性があります。農産加工業を含む食品産業事業者と農業者が相互に連携することは、地域農業の振興にとって大変重要でありまして、ひいては食料自給率向上に貢献するものと思いますが、これを促進するために、国としてのどのような取り組みを行うのか、これを伺いたいと思います。

○須賀田政府参考人 現在、国産の農水産物の約六割が食品産業へ仕向けられているわけでございまして、先生おっしゃいますように、農産加工業と農業の連携、地域農業の振興のためにも、自給率の向上のためにも極めて重要というふうに考えております。農業サイドにとっては、マーケティングだとか販売戦略だとかの経営のノウハウを得ることができる、新製品の開発なんかにもチャレンジできる。加工業にとりましては、安定的な原料調達先が確保できるということでございます。

 現在、私どもは、この食品産業と農業生産者間のマッチング支援、あるいは地域ブランド食品の開発等について支援を行っております。

 この間、五月の二十四日に公表いたしました農政改革基本構想、いわゆる農林水産大臣グランドデザインというものでございますけれども、その中でも、食品産業と担い手等生産者の間のネットワークの構築、契約取引の推進等により食品産業と国内農業との連携強化といった方向を目指すということをうたっているものでございます。

○白保委員 次に、加工食品ですね。消費者が手にしたときに、素材や成分、産地などを知るための食品表示が非常に重要な役割を持っているわけでありますが、食品表示は食品衛生法やJAS法などは規定されているわけですけれども、違反表示というのが後を絶たない。特にBSE問題での食肉偽装表示事件は、消費者の食品表示に対する信用を大きく失墜させているわけであります。これは記憶に新しいわけです。

 食品表示に対する信用を取り戻すためにも表示の適正化が求められるわけでありますが、加工食品においては国産原料を使うことに対する消費者ニーズが高いようでありますけれども、加工食品の原料原産地表示の適正化を一層徹底すべきだ、こういうふうに思います。加工食品の原料原産地表示の適正化についての取り組みと今後の方針について伺います。

○中川政府参考人 消費者の方々の食に対する安心を確保する、あるいはお買いになるときの商品選択に資するという意味で、原産地など食品の品質に関する情報を的確に提供するということは大変大事なことだというふうに思っております。

 御承知のように、生鮮食品につきましては、既に、すべて原産地の表示が義務づけられておりますが、加工食品につきましても、平成十三年度以降、例えばアジの干物ですとか、漬物ですとか、あるいはウナギのかば焼きといったふうに、逐次原料原産地の表示の義務づけをする品目はふやしてきて、現在は八品目に至っております。

 ただ、こういった個別の品目ごとに指定をするという方式では限りもありますので、昨年の八月から、厚生労働省と共同で、食品の表示に関する共同会議というところでこの問題について議論をいただいておりまして、例えば乾燥した農産物、あるいは塩漬けにした水産物といったように、生鮮食品に近い加工食品につきまして、原料原産地の表示の対象として横断的、網羅的にカバーする、そういう方向でこの方針を取りまとめていただいたところでございます。本年秋をめどに新たな基準を制定していきたいというふうに考えております。

 また、そういった各表示につきましてきちっと表示されているかどうかということは、私ども、各都道府県に農政事務所がございます。ここに全国で約二千人の職員がおりますので、日々、きちっとした表示について、今、点検もやっております。こういった点は、これからもきちっとした表示ができますように努力していきたいと思っております。

○白保委員 もう時間がありませんから最後になると思いますが、大臣、経営支援制度の意義と運用の評価についてですが、先ほどもこの法律について、この特定農産加工業経営改善臨時措置法というのは臨時措置法じゃなくて恒久法、制度にするべきじゃないかというような議論もありました。

 本制度を五年間とすることの意義と、運用の評価に対してどのようにお考えなのか、最後にお伺いいたします。

○亀井国務大臣 御質問の件、関係、先ほど来、委員の方々からもお話をちょうだいしておることであります。

 やはり、これまで累次の国境措置の変更の結果、農産加工品、半加工品の輸入が引き続き増加の傾向にあるわけでありまして、国内生産が減少する、依然として特定農産加工の業者の経営は大変厳しいわけであります。

 しかし、五年間延長しまして経営改善を引き続き支援する、できる限り早期に経営体力の強化を促すという目的もあるわけでありまして、期限を切って経営努力をぜひお願いしたい、こういう点であるわけであります。

○白保委員 時間が来ましたので、終わります。