国 会 質 問

平成16年05月20日
衆議院 農林水産委員会


政府参考人出頭要求に関する件
農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案


○白保委員 先般も質問いたしましたが、そういった中で、若干まだ疑問の残るところがありますので、そのことを中心に伺っていきたいと思います。

 本法案は、農協改革の方向性ということで、平成十三年の法改正でも一定の改正を行い、それは実現をしていっておる。十五年の農協改革の方向というものが、経済事業の改革、中央会のリーダーシップを図るために、経済事業版自主ルールの策定と指導事業の推進を提言して、地域特性を反映し、JAの自主性、創意工夫を最大限に生かすルールをつくる必要がある、こういったことが言われているわけであります。

 ただ、リーダーシップという問題と自主性の問題と地域特性、創意工夫、こういった部分において、中央でもって中央の権限、機能の強化をきっかりやっていくということとリーダーシップを強めていくということ、それとまた地域特性を生かしていく、あるいは創意工夫をしていく、そういった問題というのが、ひとつ、しっくり頭の中で整理できないな、こんな感じを持っておりまして、ぜひ大臣に、もう一回、中央会の機能強化と農協改革の意義についてお答えをいただければと思います。

○亀井国務大臣 農協の制度が発足してから半世紀が経過をし、組合員を初め各界から、経済事業の適正化あるいは効率化等、農協のあり方につきまして厳しい意見や指摘が寄せられておるわけでありまして、こうした中で、農協が、組合員はもとより消費者からも信頼をされ、そして選択してもらえるような組織へと脱皮するためには、やはり農協みずからの意識改革や自主的な取り組みが基本である、このように考えます。そういう中で、農協の指導を担う中央会のリーダーシップの発揮を促す、これは非常に効果的なことであるわけであります。

 こういうような関係で、今回の改正では、全国的に連携のとれた指導体制を整備し、また組合に対する指導をより効果的に行う、そして農協改革のスピードアップを図る、こういう点から、全国中央会が指導事業に関する基本方針を策定、公表する、こういうことにしたわけでありまして、基本方針は、全国中央会によりまして策定、公表するものでありますけれども、都道府県中央会が都道府県版の基本方針、こういうものを策定することによりまして、地域の実情に即した的確な指導が行われる、こういうことをぜひ実現してまいりたい、このように考えております。

○白保委員 後ほどこれに関連してまたお伺いをしたいと思いますが、次に伺いたいのは、先般もこれは伺いましたが、員外利用規制と准組合員制度の実態の問題であります。

 これは、本当に組合員資格を有する者のみが組合員となっているかどうか、大変な疑問というものが残るわけであります。農協の運営というのは、みんな平等で公平でやっているわけでありますが、そういった中で、その結果として少数の大規模農家よりも多数の零細農家の利益が重視される傾向があって、ますます零細農家はその依存度を高めていく、大きい方は離れていくということがあってはならないわけでございまして、そういう意味では、先般もお伺いいたしましたが、局長の答弁で、私、しっくりしないものが一つありまして、改めてこの問題について、その実態についてお伺いをしたいと思います。

○川村政府参考人 組合員資格の問題、それから准組合員の問題がございますし、また、員外利用の問題も前回お尋ねになったわけでございます。

 農協の役割を考えました場合に、農業生産者の相互扶助的な組合ということで、まさに正組合員を中心として、正組合員のためにメリットを出していくということがまずは基本だろうということは考えております。

 ただ、昨今、非常に混住化も進みまして、農協が地域の一つの経済主体として相当のウエートを占めているということもありまして、この地域住民への利便、それからまた、昨今は農協の活動が消費者とのつながり等を重視していく、これはまさに国民のニーズに合った農産物の生産を図る上でもそういったことが必要であるということもございます。

 そういう意味で、先般の改正で、この准組合員の仕組みのところも改正をして、継続的に契約を、あるいは利用する方も准組合員になれるといったようなことを改正しております。ただ、先ほど言いましたように、本来の役割、そういうことがございますので、やはりむやみに准組合員をふやすということは必ずしも好ましいことではないということだと思います。

 また、組合の中での改組、分化もありまして、一人一票というのが、これが組合の大原則でございますけれども、そのメリットの分については、形式的な平等ということではなくて、実質的な平等、例えば、端的に言いますと、大口割引をするとか、そういったものも今後は必要になってくる。まさに農協を取り巻く状況は非常に変わってきておりますので、やはりそういった地域のニーズ、農業者の方々のニーズ、そういうものに的確に応じて、どういうあり方があるのかということを模索する、それに対応していくときに来ているのかなという感じを持っております。

○白保委員 今、局長、要するに、これからもこれは調査をしたり、あるいは地元等々に聞いて、その辺のニーズを的確に把握してこれから反映していく、そういうことだ、こういうふうに理解してよろしいわけですね。

 そういうふうに理解することにして、次の問題についてお伺いしますが、広域合併と農協改革についての質問ですが、合併は事業機能と経営基盤の強化を目的として進められているわけですが、そういうことを進めていく中で、一方、広域合併の実現に伴う問題点として、地域や組織拡大による組織運営の困難さが大きくて、地域や組織拡大、そういったもので困難な面があると。管内の多様化による統一した事業展開の困難さ、こういったものも指摘されております。合併によって、地域拡大、業務拡大に追いついていけない、こういう部分もあるんじゃないか。農協の組織、事業運営が適正に機能しない、こういう事態も起きているやに聞いております。

 目的というのは、合併が目的じゃないわけでありまして、組織の拡大とかそういった合併自体が目的じゃなくて、農協自体の改革に目的があるわけですから、そういったさまざまな課題が残っているとするならば、これは本来の目的には合致しない、そういう意味で、それらの課題についての克服といいますか、取り組みといいますか、それについても伺っておきたいと思います。

○川村政府参考人 農協の広域合併の問題でございます。

 系統組織におきましては、合併構想を策定いたしまして広域合併に取り組んでおるところでございますが、平成九年度末に二千あった農協が、十六年四月現在で九百四まで減少しております。もちろん、広域合併によるメリットというのは、取扱量が増大しまして事業基盤が強化をされる、それからまた、人材といいますか、能力ある役職員が活用できるということで、事業運営の強化が図られる、また、いろいろな競合するような施設を統廃合することによりまして総体としてのコスト引き下げが図られるといったような非常にメリットもあります。

 一方、今委員の御質問の中にありましたように、広域合併は進んだけれどもなかなか実効が上がらないといいますか、今申し上げましたようなメリットがなかなか発揮されていない。これは、なかなか広域合併に伴ったガバナンスが、また、そういった事業運営も非常にまだ軌道に乗っていないということもあろうかと思いますし、また、農協と組合員の結びつきが非常に希薄化をしていて、営農指導体制も非常にもう縁遠くなったといいますか、遠い存在になって弱体化している、こういった批判なり懸念があるということがございます。まさに、今回の農協改革も、こういった広域合併に伴ういろいろな問題点、こういうものも克服をしていくということがやはり一つの大きな課題ではなかろうかというふうに思っております。

 特に、そういった農協と組合員との希薄化、これにつきましてはやはり相当工夫が要るだろうということで、例えば、支所の配置にしましても、それから組合員の中のいろいろな組織化、こういった問題にしましても、より機動的に組合員のニーズがくみ上げられるような形で再組織化をしていくといったようなことも十分取り組んでもらいたいと思っております。

 昨年のJAの二十三全国大会でも、こういった営農指導とか、そういう、特に合併に伴って問題化しているようなことを課題として挙げておりまして、これについてはまた考え方を近々取りまとめるというようなことも聞いておりますし、我々もそういう農協独自の取り組みを支援してまいりたいし、我々としてもいろいろな支援をしてまいりたいと思っております。

○白保委員 農協と農政の関係の問題について、平成十五年三月の「農協改革の基本方向」という中で、行政と農協の関係について、これまでの相互補完的な関係を見直して、今後は、行政及び民間機関として適正な関係を構築していくことの必要性を指摘している。こういう中で、特に「農政の遂行に農協系統を安易に活用してきた側面もあり、それが結果として農協系統の自立を妨げてきたことも否定できない。」こういう認識を示されておる。

 そういう面で、今後の農協と農政の関係、これについてどのような姿勢で臨むのか、それについてお伺いしたいと思います。

○川村政府参考人 農協は地域農業の発展の拠点としてさまざまな役割を担っておられます。そういう意味で、行政としましても、農協系統と連携をしまして、これまで一定の成果を上げてきたということでございます。

 研究会の報告書にもありますとおり、こういったことの反面、農協系統の自主的な努力あるいは取り組みを妨げてきた面があったということは否定できないということが指摘されております。そしてまた、組合みずからも、自分たちが半分公的な存在であるといったような感じで臨んでおられるということもありまして、これはお互いにとって、農業、農村の発展にとって、余り安易な依存関係をつくり上げるということは、これは今後は好ましくないということでございます。

 私ども、昨年、そういった農協と行政のあり方を見直すという意味で、省内に検討チームをつくりまして、例えば、端的に言いますと、補助事業につきまして、農協だけを事業主体としていたようなところの規定を見直しをしますとか、また、制度の中でも、他の団体から見ますと、農協だけを特別扱いしているような規定もありましたので、そういうところを、ちょっと時間がかかる面もありますが、今後は着実に見直して、いわゆるイコールフッティング、農協とその他の生産者団体とのイコールフッティング、こういうものの条件整備、こういうものをしていくということでございます。

○白保委員 系統組織の法令遵守、そういったものの確立の問題についてお伺いをしたいと思います。

 第二十三回JA全国大会においても、「消費者や実需者と協調し、国産農産物の信頼性を高めることをめざして、生産・加工・流通面において、食の「安全・安心」を確保する取組み」、こういう法令遵守の問題が、コンプライアンスの徹底と食のリスク管理というのがあります。ここちょっとの間を見ていますと、系統関係の最近の食品不正表示事件というのがもういっぱい出てくるわけです。

 いろいろなことを言っても、要は、信頼をきちっと確立しなかったならばいけないわけでありまして、そういった面では、この法令遵守の確立という問題について農水省としてどのように取り組みをされておるのか、最後にお伺いしたいと思います。

○川村政府参考人 農協系統の法令遵守、いわゆるコンプライアンスの問題でございます。

 今委員の御質問の中でも、食品の不正表示等、農協のかかわる不祥事が後を絶たないという御指摘でございました。これはまさに農協系統全体の信用失墜、まさにおっしゃるとおりでございます。そしてまた、消費者の食に対します信頼、これをも失墜させるということで、まさに国産農産物に対します信頼を回復していく上でも、この法令遵守体制を本当に早急に確立していくことが喫緊の課題であろうと思っております。

 系統みずからも、昨年の四月には、JAにおきますコンプライアンス指導の徹底ということで文書を発出しております。また、本年四月には、不祥事対応・未然防止の手引、チェックリスト、こういったものを作成いたしまして、全農協に配付するといったような取り組みをしております。

 また、行政側といたしましても、この法令遵守の確保、これを十六年度の検査、今年度の検査におきます最重点事項、こういうことにしまして、すべての組合をこの観点から点検をしたいというふうに思っております。また、私どもの本省からも、いろいろな担当者が、各地で行われます組合長会議等にも出席をいたしまして、この大切さを訴えるということで直接指導もしてございます。

 また、残念ながら、いろいろな不正表示等不祥事があった場合には、業務改善命令等厳正な処分をするということで指導監督を行っているところでございますし、こういうことが発生しないことを期待しておりますけれども、もし万が一ありましても、厳正に対応してまいりたいというふうに思っております。

○白保委員 いずれにしましても、農業を取り巻く環境というものは非常に変化をしてきております。そういった中で、やはり信頼される、そういう形でなければいけない、こういう思いで、私どもも、先ほど申し入れも行いましたが、また政府においても、食料・農業・農村政策推進本部を立てて努力をしております。しっかりとした農村、農業の活性化を目指して取り組んでいかなきゃならない、こういう思いでいっぱいであります。

 以上で質問を終わります。