国 会 質 問

平成16年05月18日
衆議院 農林水産委員会


農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案


○白保委員 公明党の白保でございます。

 きょうは、大変お忙しい中、参考人の皆さん方には貴重な御意見をお聞かせいただきましてありがとうございます。

 日本の農業を取り巻く環境というのは、いろいろな面で複雑になり、厳しくなってきているな、このような感じを受けるわけであります。そういった中で、農林行政も農水行政もあり方が問われておりますし、さまざまな形でもって農協のあり方等も含めて問われている時代になってきているのかなと。

 ただ、これまでも小規模農家と皆さん方をつないで頑張ってこられた、こういったこともありますし、農業、農村あるいは食というものは、これから、単に農業、農村のことだけじゃなくして、都会の皆さん方も食を挟んで非常に関心を持たなきゃなりませんし、またこれはみんなが取り組んでいかなきゃならない大きな課題なんだろう、こういうふうに思っておるところであります。

 そこで、まず一番最初に両角参考人にお伺いをしたいと思いますが、参考人は、「農業と経済」、この本の中で、「農協改革は農協再生の切り札たりうるか」というようなことをお書きになっていらっしゃるわけでありますが、地域運営主体としての農協ということで、地域農業、農村社会の運営の担い手としての農協を期待しておられると思います。そういった中で、農協がこれまで土地利用調整に関与してこなかったこと、あるいはまた、農協の意思決定が集落ベースに行われて、非農家、准組合員の意思が的確に把握されていないことを理由に、なかなか容易ではないということ等も指摘をされているところであります。

 それで、准組合員の比率は増加傾向にあるわけでありますし、今後、むしろ正組合員である農業者の意思が反映されにくくなるのではないかとの指摘も一方であるわけでありますが、参考人はどのようにお考えになっていらっしゃるのかお聞きしたい、こういうように思います。

○両角参考人 私の書いたのを読んでいただきましてありがとうございます。

 その辺は実は非常に難しくて、問題は指摘できるんですけれども、それではどうしたらいいかということについては、なかなか難しい問題があると思います。

 ただ、今の、例えば組合員の意思決定がなかなか難しい、特に、今少数となってしまった正組合員、農家の方の意見を農協の中で生かすことはなかなか難しいということに関しては、先ほどちょっと申し上げましたように、できましたら、ネットワーク農協といいますか、事業農協とコミュニティー農協を少し分けるような形で、事業農協の中で本当に農業に必要な事業に農家の方が参加する。私は、農協の基本というのは参加と効率だろうというふうに思っておりますので、そういう観点から、事業農協の、そういう農業関係の運営は農家の方が積極的にやる、それから非農家の方に関係するのは非農家の方も入れてする。

 何か、従来のようにそこのところ一本で、しかも今のような集落をベースにして意思決定するようなことを続けていけば、特にそれでも難しい農業の維持というのが難しくなると思いますので、その辺は新しい仕組みを考えたらどうかというふうに思っております。

○白保委員 次に、宮田参考人にお伺いしたいと思いますが、この法改正の中で、全国中央会の指導機能等の強化、こういったことが幾つか挙げられてくるわけであります。当然、これまでの農協、地域の小規模の農家等を含めてつないできて、その中で全国が運営をされてきたんだろうと思うんです。

 そこで、指導機能の強化というのは、私自身が、これは中央に権限を余り集約し過ぎていって、地域の実情に応じたような改革ができるのかなと。やりながら、今のことを、こういったことを感じるんですが、中央部が権限を集約してやっていく、指導強化をするというのと、いわゆる地域改革の問題と、その関係性についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか。基本的な問題ですけれども、お伺いしたいと思います。

○宮田参考人 農協の事業の中で、いろいろ、各事業があるわけでありますけれども、特に基本となるのは、何といってもこれは、営農指導事業というのが農協事業の中では一番基本となるものでありまして、そういったものが基本となって経済事業なりいろいろな事業が成るわけと私は思っております。

 とかく、経済事業ですとか信用事業、共済事業、そういった具体的な事業というのは、従来からかなり柱としてきちっと取り組みをしているわけでありますけれども、一番基本的な営農指導事業なりというものが、どうも、スタッフの問題もあわせて不足しておるというのが最近非常に大きく問題になってきておりまして、そんなことも合わせて、昨年の十月の第二十三回のJA全国大会で、もっと強化をしていこうということを強く打ち出したわけであります。

 そんなことで、今回、全中でそういった方針を出した中で、より強く、一つの柱として、JAまでずっと続くそういったものを、いわゆる事業として大きなものに持っていこうということを今回の法の中で示していただくということを我々希望しているわけであります。

 ただそれが、全中でやる柱がすべて画一的に各JAの地方までにおりていくと、地方のいわゆるオリジナリティーというのが、先生おっしゃるように、そういったものが抑えられるんじゃないかという心配はありますけれども、私はそうではないと思っております。そうあってはならないという方が真意かもしれませんけれども、これは、やはりそういった方針を出した中で全中の総会等で決めるわけでありまして、そういった中で多くの意見が出るわけでありまして、そういったものが段階的に各県におりていきまして、県でもそういったものを中心として、その県なり地域なりにどういったものをプラスしていくか、どういったものを新しく加味していくかということを、十分そういったものをプラスした中で進めていくということがやはり大事であります。

 あくまでも、上がつくるからそれをずっとそのものが下までそのまま続いていくということはないということで、そういったものを前面に押し出して、全国から県、県からJAということで柱として取り上げていくということが、今回のそういったことを打ち出したということでございますので、そういったことでひとつ御理解をいただきたいと思いますし、よろしくひとつまたお願いしたいと思っております。

○白保委員 一番大事なことは、それぞれの地域の実情に即した改革というものが非常に大事なことです。

 ただ、そういった中で、全体的な大きな規範といいますか形というもので指導をしていく、先ほども、みんなすべて合併したらどうだというような話もありましたように、やはり力をどこでどういうふうに発揮をしていくのかということも非常に大事なんだろうと思いますが、地域がしっかりとした、自立して改革してやっていくことができるということも非常に大事なことなものですから、私は、権限を集約して地域が生きてこないという状況にあってはいけない、こんな思いで今御意見を伺ったところでございます。

 田林参考人にお伺いしたい、こういうふうに思います。

 言うまでもなく、JAは組合員の視点に立った経済事業改革を行う必要が当然ある、こういうふうに思うわけであります。それから、生活関連事業の多くが赤字基調であることが指摘されていて、競争力のない事業は廃止、あるいは事業の譲渡それから民間委託などの必要に迫られているのが実情じゃないのかな、こういうふうに思います。

 しかし、地産地消とかファーマーズマーケットなどは農産物自給運動に原型がありますし、高齢者福祉事業も農村女性がボランティアで取り組んできたのが発展したものである、こういうふうに思います。

 多彩な生活関連活動は農協の事業発展に貢献してきたわけで、赤字事業だから直ちにだめだ、こういうわけにはいかないと思いますが、それらの評価と総括を行った上で合理化を進めるべきだ、こういうふうに思いますが、どのようにお考えでしょうか。

○田林参考人 生活関連の事業は、地元密着型ということで、おっしゃられたファーマーズマーケットあるいは高齢者福祉、介護事業など、現地で農協として大変な努力をもって組合員と接しておるところでございます。したがいまして、こうしたものにつきましては、引き続き連合会としていろいろな面でバックアップしていかなきゃいかぬだろう、こういうふうに思っております。

 それから、赤字の生活関連事業についてよく検証をしながら事業を進めていかなきゃいかぬのじゃないか、こういう御指摘でございます。

 まさしくそのとおりでございまして、私ども、赤字の生活事業、特に競争の激しい、先ほど申し上げましたガソリンスタンドあるいはスーパーマーケット、こういったものにつきましては非常に赤字が大きくて、全国の農協の店舗のうち六割程度のものが赤字になっている、そうした実態がありますので、これを改善するということはまさに大切なことでございます。

 したがって、その改善の仕方が問題だろうということではないか。私どもは、コンサル活動といいまして、結論的に言えば、JAの理事会に全農と農協と一緒になって協議して、その農協がなぜその事業について赤字になっているんだ、そういうことを協議、決定しまして、それを農協の理事会に提案し、改善していただくという事業を行っております。そのことを考えてみてもいただきますと、農協と一緒になってやっていきますので、農協が、三年程度でこの事業は改善できるというようなものについては、単なる収支の改善の努力をやっていただく。しかし、立地条件とか取り扱っている数量とかあるいは相手との競争だとか、そういう面で、もうこれはやっていけないというようなことにつきましては、場合によっては廃止、撤退というようなこともお話し申し上げなきゃいかぬだろうと思いますが、全農としましては、それらの事業も場合によっては全農自身が運営を受託するというような形も考えておりまして、既にその受託に対する農協からの委託も大分来ております。

 したがって、悪いのはやめるということを前提じゃなくて、もろもろの手を農協と一緒になって模索しながら最終的な結論を出すというのが私どもの姿勢であるということを御理解いただきたいと思います。

○白保委員 この自由競争社会ですから、競争力がなくてずるずる引きずったってしようがない話で、本来ならば競争力のあるものをきっちりとやっていく、これが本来の今の社会ですよ。

 そういう中で、ただ、それだけでは済まない部分もありますねということも我々はよくわかった上で申し上げているわけで、そういう面では、最初に申し上げたように、いろいろなこと、ボランティアの問題等もいろいろなことがあって、地域社会に根づいて、農家のためにあるわけですから、しかしそこで、競争力が全くないからそれでいいんですねというわけにはいきませんから、そのことも踏まえた上でしっかりとしたことを取り組んでいかなければいけないなという意味でお伺いをいたしました。

 それから、前田参考人に伺いますが、共済事業について、これは収益の柱であったわけですけれども、金融自由化、保険業界の再編だとか、保障対象者の高齢化や契約者の減少、そういったことでかなり、少なからず影響を受けておられる。多様化するニーズやサービス競争の流れの中で、今回、共済事業の法改正で事業の規範を法定化され、一層の信頼性の確立が求められていると思いますが、共済事業が組合員の生活向上に果たす役割と法改正の意義、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。

○前田参考人 お答え申し上げます。

 今先生おっしゃいましたように、やはりJA、特に共済事業を取り巻く環境が非常に急激に変化をしてきている、そのとおりでございます。

 そのときに、やはり私どもJA共済事業の本来の意義は、先ほどもちょっと触れましたように、さまざまな生活上のリスクを保障することによって、生活の安定向上に資する、これがねらいでございまして、最終的にはお互いに組合員の幸せを願うというところへ持っていきたい。

 そのために、先ほどもちょっと触れましたように、やはりニーズが多様化している、これに対して保障機能をどう充実させていくかという課題、それから、信頼性とか健全性、このための財務の健全性とコンプライアンス等の体制をどう構築するか、これは継続してやっていかにゃいかぬというようなことがございます。

 それとコスト低減のための運営経費の低減、コスト低減化をどう図るか、こういうことがあるわけですけれども、しかし、今、本質的な私どもの保障の体系そのものは基本的には変わらない。ただ、やはりJA共済を利用してよかった、こう思っていただく利用者、組合員の皆様方、これの満足度をどう高めるか。そのための経営責任あるいは全体の運営をJAではともどもどう果たしていくか、これが私どもの今後の大きな課題であり、またそういう方向に進む必要があるというふうに認識をしております。

 どうもありがとうございました。

○白保委員 では、もう時間も余りありませんので、最後に、五人の皆さんに御出席いただいておりますので、皆さんにお一人一問ずつお聞きしたいと思ってやってまいりました。

 最後に、松下参考人にお伺いいたしたいと思います。

 JAとぴあ浜松は、合併、大型化の成功事例というふうに聞いております。松下参考人の研究会での報告等が、農協のあり方についての研究会、そこでの報告がありますが、組合員に還元するための事業推進という意識ですね、また、人と金の生きた使い方、まさに活用という経営手腕の問題、これを非常に強く感ずるわけであります。

 JAの職員が、組合員と地域社会の奉仕者として、またある側面では先導者として集落の中に入って、農地をいかに守るかという取り組みをすることが求められている、こういうふうに思うわけですが、どのような意識改革をなされて今日になったのか、このことを最後にお伺いをしたいと思います。

○松下参考人 JA改革については、やはり意識改革、これなくしてJA改革はないと私は感じております。合併以来、とぴあという名前をつけましたけれども、このとぴあ浜松は一つである、旧来の農協の意識を捨てようということ、これは一貫してまいりました。

 同時に、組合員の立場に立って常に経営していかなきゃならないということと、組合員から聞かれた問題については、即答えられない場合でも必ず答える、こういう姿勢がないとやはり組合としては成り立っていかないということ。ですから、合併当初にはいろいろな問題点もございましたけれども、それを一つ一つ克明にチェックしながら改善に努めていった。それにはやはり、役員、職員、同時に組合員の皆さんの御協力がないとなりませんので、そういう形で進めてまいりましたので、よろしくお願いしたいと思います。

○白保委員 きょうは大変お忙しいお時間においでいただきまして、貴重なお話をお伺いいたしました。大変ありがとうございました。これで終わります。