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○白保委員 去る三月十二日に正式に合意をいたしましたメキシコとの自由貿易協定締結については、約一年半という長い時間をかけて交渉を行って、その苦労も大変大きかったと思います。大変御苦労さまでございました。
メキシコについては、NAFTAやEUとのFTAを締結したために、輸出入が北米や欧州の方へシフトしていった。その結果として、日本は一九九九年に三千九百五十一億円もの利益を逸失したと経済産業省が試算をしているわけであります。その後、不利益解消ということや、あるいはカンクンの問題等を受けて、メキシコとのFTA締結を行ったということは極めて重要となってきておったんだろう、こう思います。
ただ、その一方で、私も前のときにも金田副大臣にも答弁いただいたんですが、どうも、農水省と経産省あるいは外務省の三省が一致した形でもってやっておられるのかなというような、こんなことも感ずることが間々あってという話を前にもしたことがありますが、そのことをまた、国内調整のやり方が最大の問題点であったなどということをおっしゃる某省の幹部もおられて、司令塔がどこにあるのかなという問題があって、我々は非常に心配をしておるわけです。
そういった面で、今度はFTAをアジア各国と行うわけでありますが、このFTAの農業交渉、そういったことも、これまでの反省を踏まえて、今後、東アジア諸国との交渉についてどのように臨まれるお考えか、そのことをまずお聞きしたいと思います。
○亀井国務大臣 今、委員からも御指摘のとおり、メキシコのFTA交渉、私もその交渉の当事者として二晩徹夜をしたり、あるいはまた、最後の大筋合意まで、今日まで参りました。そういう中で、それなりに、政府一体となってその対応をしてまいりました。
しかし、これから東アジア各国との問題、やはりこれは何といっても、いろいろ各国の抱える諸事情、これはいろいろあるわけでありますから、できる限り、それらの情報の収集、そしてさらに分析を行う必要があると思いますし、さらには、この交渉に当たりましては、積極的に、かつ戦略、こういうものをしっかり持っていかなければならないわけであります。
そういう点で、昨年十一月に、私を本部長といたしまして、省内にFTA本部を設置いたしまして、国別にFTAのチームを編成し、それぞれ、メキシコでの経験等を十分生かして、多面的な機能あるいはまた食料の安全保障、構造改革の進展ぐあい、こういうことにも十分留意をしてしっかりした対応をしてまいりたい、このように思っております。
○白保委員 これから臨むわけですが、それぞれの各国との農業分野での課題があるだろうと思います。それぞれの課題について、ここで御答弁をいただきたいと思います。
○村上政府参考人 メキシコに引き続きまして、現在、韓国、タイ、フィリピン、マレーシアと交渉を行っております。いずれも、一回ないしは二回の交渉が行われただけでございまして、現段階で、個別具体的な品目ないし項目の議論をしている状況にはないわけでございます。
そういう中で、今後の交渉を予断することはできないわけでございますけれども、農林水産物の関係でまいりますと、各国からの我が国の輸入に占める割合、あるいは潜在的輸出力というようなことから考えますと、韓国では水産物あるいは調製した野菜など、タイについては鶏肉、でん粉、砂糖、米、フィリピンはバナナやパイナップルなどの熱帯果実、マレーシアについては合板というような問題があるかと思います。もちろん、こういう品目に限らず、いろいろな難しい問題が今後議論の中で出てくる可能性があるというふうに考えております。
それから、農林水産物以外では、韓国との関係では、やはり日本との非関税障壁の問題あるいは経済協力の問題などについて先方がかなり強い関心を持っておりますし、韓国側は、FTAによる対日赤字の拡大、中小企業への影響というようなことを非常に強く懸念しているような状況がございます。
タイとの関係でいきますと、先方の問題といたしましては、鉄鋼、自動車、自動車部品あるいは石油化学製品などの分野が非常にセンシティブな問題であるというふうに産官学研究会の中では指摘されておりますし、さらに人の移動ということで、タイ式マッサージ、看護師、介護士などの問題があるということでございます。それからまた、投資の自由化も潜在的な問題ではないかというふうに思っております。
フィリピンについては、よく報道などもされておりますけれども、看護師、介護士などの人の移動の問題なども大きな焦点になろうかというふうに思っております。
マレーシアについては、一つは政府調達の問題がございますし、投資、あるいは国民車である自動車産業の扱いなどが問題になってくるのではないかというふうに考えているところでございます。
○白保委員 これからの交渉ですから、いろいろといろいろな交渉がなされていくんだろうと思いますが、タイなどは、私どもの地元の泡盛はタイのお米を使ってやっておりますから、十分輸入しておりますので、そういったこともわかっていただきたいなと思いますし、もう一つは、豚は、豚肉等もありますけれども、我が方、豚肉は長寿のもととして料理にはよく使われている。そしてまた、前に副知事をやりましたけれども、尚弘子さんという農学博士がおりますが、タイの料理等を基本にした沖縄料理の問題を研究して博士号を取られた人もおります。
非常に関係が深いだけに、あるいはこの辺との交渉というのはバッティングする部分も結構出てくるなということを非常に気にしているところであります。その辺のことも踏まえて、ぜひしっかりとした交渉を行っていただきたい、こういうふうに思います。
また、実は、WTO、FTAに関して議論をされているわけでございますが、そういった中で、これは昨年二月、外務省が行った経済外交に関する国民の意識調査ということでありますけれども、経済外交に関する意識ということで行いました。
その際に、経済外交に関する意識調査の中で、WTOドーハ・ラウンド交渉について関心を持っているかとの問いに、関心があるとした人は一七・五%で、関心がないとした人は六三・七%というふうになっていました。関心のない理由としては、ふだんの生活に余り関係がないと思うから、これが三八・六%、理解するのが難しそうだから、二七・五%、十分な情報が得られず、どのようにしているのか知らないからというのが三一・五%というふうに、関心がない、こういうのが多いわけです。しかしながら、関心のある人たちにその分野を聞いてみたら、農業、農産物の貿易が最も多くて三七・三%。自由化を容認する回答が四七%にも上った。
この時点で、農水省はこれをどのように受けとめ、どういうような分析をなされたか、この点についてまずお聞きしたい。
○金田副大臣 外務省が昨年の二月に実施した調査についてのお尋ねでございます。
御指摘のとおりでございまして、WTOについて関心があると答えた人が一七・五%しかなかったということであります。FTAに関心があると回答した人が二〇・四%。また、貿易の自由化について、農産物の自由化について四七・〇%の人が容認するという回答になっていたということ。まだまだ農林、これからも国民に対する広報や情報提供に努めていかなきゃならないなという思いを強くしたわけでございます。
しかし、この調査とは別に、総理府でいろいろなアンケート調査等々、世論調査をやっているわけでございますけれども、我が国の将来の食料供給に不安があると答えている人が約八割に上ったという調査もありますし、また、農業の多面的な機能が必要であるという人が約九割にも上ったというようなことでございます。
国内の農政改革を進めながら、多面的な機能を維持して、そして足腰の強い農業構造を確立していくことが必要だというふうに考えているところでございます。
○白保委員 それでは次の問題に行きますが、メキシコとのFTAでは、日本の養豚事業者の強い抵抗もあり、内外価格差を埋める差額関税制度を維持した。先ほども話がありましたが、メキシコの養豚は、砂漠地帯の中で、ふん尿処理にほとんどコストをかけない。日本の半分ほどの生産費で育てた安い豚が流入することを懸念した。対策本部ですか、委員会等もつくってからもかなり頑張ったようでございますが、また、北米自由貿易協定のもとでの米国産の迂回輸入を防ぐための原産地規制を確認した、こういうふうに言われております。メキシコは実は豚肉の純輸入国で、カナダやヨーロッパからもかなり輸入しておりまして、豚肉を輸出している人たちは大規模農家、高級豚肉を生産するアメリカ資本の農家だ、こういうふうに言われているからではないかな、こういうふうに思っております。
ところで、差額関税制度は、税関での申告の際に、実際よりも高値を装って、そして税逃れをするケースがある、税関では実際の価格が幾らだということはなかなか見分けにくい、不可能だ、こういうふうにも言われているわけですね。そのために、交渉の際、税逃れを前提にした、メキシコの業者ももうけているという実利を指摘したという話も出ているわけですね。この問題点についてはどのように対処がなされたのか、なされるのか、また交渉過程での事実関係はどうであったのかということをお聞きしたいと思います。
○村上政府参考人 メキシコとの交渉の中で、豚肉につきましては、先方が、差額関税制度について分岐点価格を引き下げてほしいという非常に強い要請がございました。我が国としては、差額関税制度によって国内の豚肉の農家を守っているという側面から、これを絶対維持するということを基本に交渉を行ったところでございます。
その差額関税制度の中で、メキシコの輸入はほとんど、九八%ぐらいが従価税部分で輸入が行われているというような実態について情報交換をいたしましたけれども、税逃れというようなことを前提にした議論をしたという事実は全くございません。
○白保委員 余り時間がないので、急いで聞きますけれども、韓国とのFTAについて、特に韓国だけということで申しわけないのですけれども、問題点としてお聞きしておきたいのは、植物の新品種保護への取り組みについて大きな懸念を持っているわけですね。
それは何かというと、韓国は、植物の知的財産権を守る植物新品種保護国際同盟、UPOVに三年前に加盟した。しかしながら、登録対象を全品目に拡大する義務については十年間猶予期間を置いたわけです。そうしますと、完了は二〇〇九年、こういうことになるんだろうと思うんです。
現在の韓国の法律では、登録できる品目が百ちょっとにとどまっている。したがって、イチゴや花卉類の一部は登録対象となっていない。最近でも、似たようなのが向こうで売られているとか輸入されたとかいうのがありましたけれども、そのたびに種苗法の改正等にも取り組んだり、いろいろやりました。
新品種が不当に栽培されるおそれがあるんじゃないのかなというその心配があるわけです。また、過去にも新品種の種苗が韓国へ持ち出されたということもありますし、そういったことも含めて、大変大事な、日本の農家が開発をしていく、そういった品種を守るためにはどうすればいいかということで、これはFTAの交渉に当たっては、この辺の部分も踏まえて交渉すべきではないかな、対応策を考えるべきじゃないかな、こう思いますが、いかがでしょうか。
○白須政府参考人 ただいまの委員の御指摘でございます。
お話しのとおり、韓国は、二〇〇二年に植物新品種の保護の枠組みを定めました国際条約を締結したわけでございまして、条約上、二〇一二年までに全植物を保護対象とする義務があるわけでございます。しかしながら、お話しのとおり、現在、まだ百十三の属なり種についてのみ保護対象になっているわけでございまして、したがいまして、確かに植物が限定をされておりまして、例えばイチゴでございますとかそういうふうな、私どもの国内の農業者が関心のあるものについてまだ保護対象になっておらないというふうなことでございます。
今後の具体的な拡大計画については、今のところ、まだ公式には決定されておらないわけでございますが、いずれにしても、この保護対象植物を拡大しないと、お話しのとおり、韓国で保護されておらない植物について、我が国の育成者が新品種を韓国で登録して、あるいは権利交渉するということができないわけでございます。
したがいまして、これまで、私どもも、いろいろな機会をとらまえまして、この保護対象植物の早期拡大を図ってきたところでございますが、お話しのとおり、今後、日韓のFTA交渉が進められるわけでございます。したがいまして、そういった知的財産分野の協議の中におきましても、保護対象植物の早期拡大といったところにつきまして、私ども、日本の考え方を十分説明いたしまして、そのFTAの交渉の場も利用しながら、今後とも韓国に働きかけてまいりたいというふうに考えております。
○白保委員 日本の農家の皆さん方が開発した品種等を守るためにも、ぜひしっかりとした交渉をお願いしたい、こう思います。
最後になりますが、先ほど金田副大臣がとうとうと答弁をされておりましたけれども、我が国はWTOの交渉の中で多面的機能を一生懸命言っているわけですね。しかし、私は、それがどれぐらい欧米の人たちに理解をされておるのかということについて、非常な疑問を持っておるわけです。
ただ、それも必要なんだけれども、もう一つ大事なことは、先ほど話の中に出てまいりましたが、食料安全保障というのは、主権国家の国民として生きる権利です。その権利という問題については、欧米人は意外と理解ができる。依存率がこんなに高いのに、一朝何か事があったときに、一国が立ち行くことができるかできないかという問題のときに、生産を高めていくというその権利、生きていく権利、これについて、これを抑えようなどという話はあり得ないんです。だから、多面的機能も大事な話だけれども、食料安全保障というものは、人間の権利としてもっと押し出していかなきゃならないんじゃないか、そのことがもっと大事だろう、だから二つあわせてやるべきだと。
これは、私もそう思いますけれども、ちょっとさっき本を読んでおりましたら、シンプソン名誉教授もそういうふうに言っていますよ。欧米の人は理解できる、向こうの価値観でいくならば、向こうの哲学でいくならば。だから、そのことをもっともっとしっかりと言っていかなかったならば、多面的機能でいうと、環境を守るために一生懸命農業をやるからこれは関税率下げないね、だからこれはもっともっと押さなきゃいけないねということになるのなら、一方では、やはり生きる権利というこの部分からしっかりと押していけば、それは容易に理解のできる話なんだというふうに言っていますけれども、私もそのとおりだと思います。
ぜひ、交渉に当たってのこれからの姿勢について、大臣、最後に。
○亀井国務大臣 委員御指摘のとおり、非貿易的関心事項、そういう中で、多面的機能の問題とあわせて、私は、機会あるごとに、我が国は食料の純輸入国、そういう面での食料の安全保障、こういう視点でたびたび主張もしておるわけでありますし、G10のグループ、これは、それぞれそのような認識を共通しておるわけでありまして、それらをさらに関係国、地域、また関係の国々にも主張して頑張ってまいりたい、こう思っております。
○白保委員 終わります。
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